OMS(オーダーマネジメントシステム)という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
OMSというのは、ECサイトの注文情報や在庫、入金などを管理するためのシステムです。
ECサイトが普及し、多くの人が利用するようになっていることで、ECサイトの管理者は、顧客からの注文情報をより効率的に管理することが重要になっています。
OMSはECサイト運営には必須のシステムと言っても過言ではありません。
OMSの基礎知識から、OMS導入によるメリット・デメリットなどについて詳しく説明します。
OMS(オーダーマネジメントシステム)とは?
OMSとは、Oder Management System(オーダーマネジメントシステム)の略で、注文管理システムと日本語では訳されます。
OMSを使えば、ECサイトの注文情報と、それに紐づく、顧客情報や商品、在庫情報などを全て一元管理できます。
OMSがあれば、注文を受けたときに、どの拠点からいつ出荷すべきかということもシステム上でわかるようになります。
複数のECサイトからの注文情報も一元管理できるので、ECサイトごとに注文情報をチェックする手間も省けます。
オンラインショッピングの需要は高まっており、amazonや楽天など複数のECサイトに出品することも増えているので、OMSの必要性も高まっていると言えるでしょう。
OMS(オーダーマネジメントシステム)の重要性
今後も多くの需要が見込まれるECの分野で、効率的な業務を進めるためにもOMSの導入はなぜ重要なのでしょうか。
OMSの重要性についてポイントを確認していきましょう。
ECサイトにかかわる情報を一元管理でき業務効率化が可能
OMSを導入することにより、商品の受注から出荷、入出金管理まで全てを一元管理でき、自動化により業務効率が上がります。
ECサイト運営をワンストップで対応可能
複数のECサイトやその他の売上拠点の情報などを全てワンストップで確認できます。
そのため、各ECサイトの売上比較や顧客への領収書や請求書の作成から、在庫管理を行うのに無駄がありません。
EC市場は今後も拡大が見込まれる
EC市場は2010年から9年連続で、拡大しています。
また、経済産業省の資料によると、2019年と2020年のEC市場規模は横ばいでしたが、EC化率は増加しています。
つまり、商取引において、ECが利用される割合が伸びているのです。
さらに、インターネット通販サイトを通じた国際的な電子商取引である越境ECも増加しています。
OMS(オーダーマネジメントシステム)の基本機能
OMSは具体的にどのような機能を持っているのでしょうか。
OMSでは、以下の内容を、基幹システムや倉庫を管理するWMS、ECサイトなどと連携が可能です。
- 受注管理
- 出荷管理
- 商品管理
- 在庫管理
- 顧客管理
- アカウント管理
- プロモーション
- 見積管理
- 入金送金管理
これにより、情報の一元管理が可能となり、ECサイトなどの運営の効率をアップさせることが可能です。
ただし、各社のシステムで、機能には多少違いがありますので、導入時には自社に合った機能なのか、確認や検討が必要です。
OMSの基本機能について確認していきましょう。
受注管理
受注登録や受注内容の変更、受注キャンセルなどを管理する機能。
出荷管理
出荷指示や出荷の取消、出荷の手配、出荷実績の登録などを管理する機能。
商品管理
商品番号、商品名、規格、値段の登録などを管理する機能。
価格の一括エクスポート、インポートなどや、まとめ買い時のディスカウント設定も可能。
在庫管理
入庫、出庫、引当、引当や予約の取消などを管理する機能。
どの商品がどの倉庫にどのくらい未引当で残っているか、などの情報を確認できる。
顧客管理
顧客情報の登録、更新、退会などを管理する機能。
顧客ごとの注文履歴や、ポイントの付与・利用状況なども管理できる。
アカウント管理
OMSの利用者ごとに操作権限を管理するための機能。
例えば、アルバイトには入出庫管理などをさせたいが、顧客情報や売上情報などは閲覧できないように権限をつけることが可能。
プロモーション
キャンペーンの設定やメルマガ配信、販促メールなどの送信を管理するための機能。
見積管理
営業にとって重要となる見積書の作成や過去に作成した見積書の履歴などを管理する機能。
担当が変わると過去の見積履歴が分からなくなることがあるが、そのような問題も防止できる。
入金送金管理
入金の消込や入金の督促、返品・返金の管理や売上確定の管理をおこなう機能。
OMSとWMSの違い
OMSと似た言葉に、WMSという言葉があります。
WMSとはWarehouse Management Systemのことで、日本語では、倉庫管理システムと訳されます。
OMSとWMSでは情報をカバーする範囲が違います。
OMSは、注文から在庫管理・出荷管理など、顧客から注文を受けてから、商品が届き、その支払いがされるまで、全てをカバーしています。
一方、WMSは倉庫内の作業にかかわる情報のみしか管理しません。
具体的には、品物の入庫、検品、保管、ピッキング、出荷などがWMSの対象範囲となります。
OMS(オーダーマネジメントシステム)のメリット
ECサイト運営の効率化には必要不可欠なOMSですが、導入によって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
OMS導入によるメリットを確認していきましょう。
業務効率が大幅に向上
OMSの導入で業務効率が向上するメリットがあります。
OMSが無ければ、ECサイトの情報、WMSの情報などを一元で管理できません。
そのため、ECサイトの受注情報と在庫情報は別途、エクセルで管理するなど、別口の管理が必要でした。
ECサイトを複数取り扱っていれば、その負担はさらに増加します。
しかし、OMSを導入すれば、情報は一元管理されるので、このような別口管理は不要となります。
さらに、配送手続き、在庫管理、領収書や請求書の作成もシステムと連動して、自動化することができ、業務効率アップにつながります。
このように、情報が一元化されていないために、人手で行っていた作業の多くが不要になったり自動化されるので、業務が効率化されるというわけです。
作業ミスやトラブルの低減
OMSの導入はミスやトラブルの低減というメリットも生み出します。
OMSを導入していなければ、ECサイトやWMSとの情報が連携されておらず、個別の管理が必要です。
これらの個別の管理はどうしてもある程度は、人手に頼る必要があります。
人手に頼るということは、当然インプットミスの可能性もあります。
特に複数のECサイトなどを運営し、それらを人手に頼っていては、ミスもそれだけ多くなり、顧客とのトラブルにもつながります。
そうなると、ECサイト自体の評価にも影響が出てきます。
OMSを導入すれば、このような人手での入力が不要となるので、人為的な入力ミスをなくし、トラブルも減らします。
経費削減・人員配置変更が可能
OMSの導入のメリットの中には、経費削減や人員配置変更がしやすくなることも含まれます。
OMSを導入すれば、人手で行っていた作業が不要になるなど、大幅な業務効率アップが見込めます。
そうなれば、作業の人員を減らすことができ、経費削減にもつながります。
また、人手の作業が減り負担が減れば、より注力したい業務に人員を割くこともできます。
例えば、今までECサイトの受注情報や在庫情報を管理していた人を、もっと、重要なマーケティングの業務に配置変更することもできます。
OMS(オーダーマネジメントシステム)のデメリット
OMSの導入を検討するには、メリットとともにデメリットを知っておくことも重要です。
OMS導入時にデメリットとして考えられるものを見ていきましょう。
システムコストがかかる
まずは、やはりコストがかかることです。
OMSには様々な種類があり、搭載されている機能もそれぞれ違いますが、場合によっては、100万円以上のコストがかかることもあります。
また、このようなシステムは、導入すれば終わりというわけではなく、利用になれるまでの期間や想定していなかった問題を解決するのに、システムの改修が必要になるかもしれません。
他にも、システムのバージョンアップや、使う人が増えればアカウントの追加費用なども必要になる場合があります。
このように様々なランニングコストがかかってくることも、念頭に置いておいた方が良いでしょう。
作業フローの見直しが必要
OMSの導入を検討するには、これまでの社内の作業フローの見直しが必要となることがあります。
OMS導入前は、別の方法やアナログな手法などの人手に頼っていたために、ルールがあいまいな作業が存在していることが多いからです。
システムを導入し、作業を自動化するにはルールが必要です。
しかし、いざ、システムを導入しようとすると、担当者の経験や勘で判断していることや、作業手順が人によって違うことなど、ルールが明確でない作業が見つかることがほとんどです。
そのため、システムを導入する前に、現状の作業内容を見直して、明確なルールを決めるなどの、作業フローの見直しが必要になります。
場合によっては大幅に作業フローを見直す必要が生じるため、かなり労力がかかります。
ITリテラシーが高い担当者が必要
今まで、人手で行っていた作業がシステム化されるので、ある程度のITリテラシーが必要になります。
全員が一定レベルで操作方法を覚えるための教育や、それに対する時間やコストがかかります。
作業に慣れるまでの期間は、一時的ですがそれほど効率が上がらない可能性もあるでしょう。
OMS(オーダーマネジメントシステム)導入の注意点
検討を進め、「実際にOMSを導入する」と決まったときにも、注意が必要です。
世の中にはOMSと一言で言っても、たくさんの種類があり、機能や操作性に違いがあるためです。
そのため、折角、コストをかけて導入しても、自社に合ったOMSを導入しなければ、大きな効果も見込めません。
OMS導入時の注意点について確認していきましょう。
既存のシステムとの連携は可能か
現在のシステムと連携出来るのかという点に注意が必要です。
例えば、すでに在庫管理システムやWMSなどを導入している場合、それらと連携できないシステムを選んでしまうと、既存のシステムをすべて捨てて、一新する必要が出てきます。
そうなると、当然、システムにかかるコストは大幅に上がってしまいます。
しかも、新たなシステムを一から勉強し直す必要も出てきてしまいます。
導入した場合の生産性向上とコスト面などバランスは良いか
OMSを導入するとしても、会社の規模や受注数などによっては、それほど大きな効果を発揮しない可能性もあります。
例えば、受注数が大きくて、人手に頼ってしまうと、大幅に手間がかかってしまったり、ミスが出たりするような場合には、OMSも効果を発揮します。
しかし、受注数がそれほど多くない場合は、人手で作業している方が、コスト面で有利かもしれません。
このあたりは導入時のコストに見合うほどの生産性の向上が見込めるのか、判断する必要があります。
自社の現状と今後の方向性とあっているか
OMSを導入するには、自社の現状や今後の方向性と合っているかも重要です。
折角、大きなコストをかけても自社の抱えている課題が解決できなければ、それほど効果を発揮しないでしょう。
自社のこれから向かう将来を見定めて、それと合ったOMSを選ぶことが重要です。
そのためには、まず、社内で課題をきちんと洗い出し、その課題が解決できるシステムを見定める必要があります。
さらに、自社内で明確になった課題の解決方法をシステム担当者に質問するなどして、すり合わせていくことも大切です。
OMSとクラウド在庫管理システムzaicoを連携しよう
OMSの基本機能やWMSとの違い、OMS導入のメリット・デメリットなどについて、説明してきました。
これからも成長が見込まれるEC市場で、効率的に業務を進めるためにも、OMSはほぼ必須といって良いでしょう。
OMSを導入・構築するためには、システム同士が連携できることも重要です。
OMSと在庫管理システムを連携して管理したい場合には、「クラウド在庫管理システムZAICO」をご検討ください。
ZAICOの外部連携について、詳しくはこちらのページをご参考にしてください。
「クラウド在庫管理システムzaico」ならば、OMSを導入する際にも、システム連携で困ることもありませんので、お気軽にお問い合わせください。