出荷作業で大事なことは、依頼主からの委託を受けて送付を依頼された品物を、正しい宛先に、きれいな荷姿で、決められた日時に届けるための手配をすることにあります。
出荷作業に不備・不手際があれば荷物を受け取る人からクレームを受けたり、依頼主からの信用を失ったりすることになります。
出荷ミスが重なればクライアントから見限られ、競合他社に仕事を持っていかれてしまった、なんてことにもなりかねません。
出荷作業とは何か、出荷作業を正確かつ効率的に行う方法について確認していきましょう。
出荷作業とは?
「出荷作業」とは文字通り、荷物を出す作業のことです。
荷物を1個出すだけなら、出荷作業はとても簡単です。
しかし、荷物の個数、種類が増えると、その分だけ作業が混乱しトラブルが発生しやすくなります。
というのも荷物の個数、種類が増えると、それに対応する仕分け・梱包・送り状の作成・貼付作業など各工程が2倍、3倍と増え、それとともにセットする個数を間違えたり、違う送り状を貼ったりするなどのケアレスミスが発生しやすくなるからです。
出荷作業に従事するスタッフは工程が増えれば増えるほど、トラブルの発生リスクが高くなるということを念頭におき、注意深く作業にあたる必要があります。
出荷作業の内容
注文を受けてから荷物を送り出すまでの工程が「出荷作業」となります。
出荷作業は、注文を受けて倉庫から品物を取り出す「ピッキング」、送られる品物が適切な状態になっているかを確認する「検品」、品物を荷姿よく包み、搬送時の破損・汚れを防ぐ「梱包」、送り状を貼付し品物を送り出す「出荷」などの工程があります。
出荷作業の内容を各工程に分けて確認していきましょう。
ピッキング
ピッキングとは、注文を受けた商品を倉庫から取り出す作業のことを言います。
ピッキング作業はフォークリフトを始め、パレットと呼ばれる平板、クレートと呼ばれるプラスチック製の網かごなどの機材を使って行うことが一般的です(これらはマテハン機器と呼ばれます)。
ピッキングの方法には、出荷先に次々とピックアップした品物を集めていく摘み取り方式(オーダーピッキング方式)と、まず複数の品物をまとめてピッキングしておき、後で出荷先ごとに仕分けを行う種まき方式(バッチピッキング方式)があります。
ピッキング作業が熟練していくと動線の短縮化が進み、一筆書きに近い状態で行えるようになるのです。
検品
出荷リストを見ながら、出荷する品物の品目・数量・宛先・期日などが適切な状態になっているかをチェックします。
誤出荷があれば、ユーザーからのクレームやクライアントからの信用低下に直結してしまうので検品作業には注意力、慎重さが求められます。
具体的にはピッキングした品物と品番、数は合っているか、品物に汚れ、破損がないか、食品や医薬品などのように賞味期限、消費期限のあるものなら期限切れや期限間近になっていないかなどを確認します。
梱包
梱包作業では荷姿を美しく、かつ高い強度で梱包することが求められます。
もし品物が落下したとしても、品物が変形・破損しにくいような梱包ができればベストです。
梱包作業では、段ボール箱や包装用クラフト紙などの梱包資材を品物の形状に応じて使っていきます。
段ボール箱に詰める場合、品物と段ボール箱の間に隙間ができることがあるので、この場合は、クラフト紙を丸めて詰め込んだり、気泡緩衝材、ウレタンスポンジなどを入れたりして、品物を衝撃から守るようにしましょう。
出荷
「荷物の準備はできた。
あとは宅配業者を呼べばOK」という状態になれば出荷のスタンバイ完了です。
出荷時の重要なポイントは、「梱包された品物に正しく送り状が貼られているか」という点です。
出荷の際に起こりがちなのが、A社に送る荷物とB社に送る荷物をあべこべに送ってしまう「テレコ」という現象です。
送付先リストと送り状を照合しながら、品物の種類、個数が正しく記載されているか、依頼主、問い合わせ先などの記載がきちんとされているかなどをしっかりチェックしておきましょう。
出荷作業でよくあるミス
ピッキング→検品→梱包→出荷というように、さまざまな工程がある出荷作業では、システムエラーやヒューマンエラーが発生することがあります。
出荷作業でよくあるミスについて確認していきましょう。
商品違い
ユーザーがリクエストした商品と違う商品を出荷してしまうミスです。
ピッキング時の商品取り違えが原因で起こりがちなミスです。
倉庫現場でのミスでなく、その前段階、つまりバーコードや二次元コードの作成時に商品の品番をコード入力する際に間違えた番号で登録したときも発生しやすくなります。
色やサイズ違い
型やシリーズは同じであっても、色やサイズなどの違う商品を出荷してしまうミスです。
ピッキング時に品番しか確認せず、その下の階層である色やサイズなどを規定する識別番号を確認していないときに発生しがちなミスです。
バーコードや二次元コードの作成時、あるいはピッキングや検品の際、作業者が商品の属性をきちんと把握せず、機械的に作業を進めているとミスの発生リスクが高くなります。
点数違い
出荷する品物の個数が違ってしまうミスです。
これもピッキング時の数え間違いやチェック漏れで起こりがちなミスです。
また、送り状の個数記入欄に発送リストに記載されている個数と異なる数字を誤入力したときにもこのミスは起りやすくなります。
とくに同じ商品を複数の相手にそれぞれ違う数量を送る場合に発生リスクが高くなるでしょう。
送り先違い
A社用の荷物にB社のラベルをあべこべに貼ってしまう、これによりA社の荷物がB社に行き、B社の荷物がA社に行ってしまうといった送り状の貼り間違えによる誤出荷です。
「テレコ」と呼ばれ、出荷作業で頻繁に見られるミスです。
荷物と送り状が対になっている状態が何かの拍子で崩れてしまうと荷物と送り状に食い違いが発生するリスクは高くなります。
一度食い違いが生じると、それ以降の荷物は食い違いが連続してしまいます。
このような食い違いは最後に気づくことが多いのですが、事態の収拾にかなりの時間を要することになります。
付属品の同梱もれ
梱包時に説明書や付属品、広告チラシなど一緒に入れるべき付属品を入れ忘れてしまうことがあります。
依頼主は広告チラシの同梱で広告収入などを得ているケースなどもあり、これらの付属品の同梱は実は非常に重要な場合があります。
当然のことですが、出荷作業者は付属品に対しても軽視することなく真摯な対応に努める必要があります。
出荷作業のミスを減らす方法
出荷作業はさまざまな工程があり、ある工程で生じたミスがそのまま引き継がれてしまいがちです。
また、組み合わせる作業も多く、そこで食い違いが発生することもあります。
こうしたミスはどう防いでいけばよいのか、出荷作業のミスを減らす方法を確認していきましょう。
現状把握を行う
出荷作業にあたる現場スタッフがきちんと現状把握を行うこと、すなわちその仕事の役割や意義をしっかり理解・認識して行うようにすることで出荷作業のミスが発生するリスクは低下します。
ピッキング、検品、梱包、出荷の各工程において作業に慎重さが加わりますので、何も考えず機械的に作業を行う場合に比べると1件の出荷に要する処理速度は落ちてしまうかもしれません。
それでも委託を受け、大切な荷物を預かり送り届ける業務にあたっているという使命感をスタッフが持ち、丁寧・確実な仕事を行うことが最優先されるべきです。
管理方法やフローの改善をする
ピッキング、検品、梱包、出荷の各工程で申し送り、引継ぎが確実にできる連携体制を作っていきましょう。
作業マニュアルや引継ぎ用のチェックリストなどを作るのもよいでしょう。
各工程について見ていくと、ピッキングではロケーション管理をより厳密に行い、何がどこにあるかという意識を明確に持ち、作業にあたるようにしてください。
目視検品は2名で行うようにし、声出し確認、指差し確認を励行しましょう。
梱包は荷物を送り主の思いや受け取る人の気持ちを考えながら一つ一つ丁寧に詰め込み、包み込みを行うようにしましょう。
出荷作業では送り状と荷物が基本的に1対1になっているか、送り状が重なっていないかをきちんと確認しながら貼り込み作業を行うことが重要です。
システム活用を進める
倉庫管理システム(WMS)を活用することで出荷作業をより効率的に進めることができます。
WMSには出庫管理機能があり、品物が出荷するまでのスケジュール管理、商品が適切に管理されているかの確認、出庫に伴うピッキングリストの作成、出荷品の検品、出荷実績の記録などをサポートしてくれる機能があります。
WMSではスタッフがバーコードリーダーを使って、ピッキング、検品、出庫を進めていき、作業者に取り違えなどのミスがあると画像や音によるシグナル表示が行われます。
スタッフの習熟度による差がなくなり、未経験者でも一定レベルの作業が行えるようになり、作業の標準化が進むのです。
出荷作業の効率化にもzaico
出荷作業にはさまざまな工程があり、1つのミスがあると連鎖してミスが拡大していくという特性があります。
出荷作業によるミスを防ぐ方法として、WMS導入など工程のシステム化が挙げられるでしょう。
出荷作業のミスを減らすことのできるツールをお探しであれば「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoは写真、バーコード、二次元コードなどの画像情報をハンドスキャナーで取り込み、品物の登録を行います。
そして、この登録情報をもとに入出庫の管理を行っていきます。
これにより帳簿への記入やPCへの入力などの業務を省略することが可能です。
登録情報は二次元コードやスマホで追跡することが可能となっており、これらのデータはクラウド型なのでパソコン、スマホ、タブレットなどで複数人が、同時に閲覧することができます。