海産物、畜産物、農産品、冷凍食品等の食品を管理する場合、通常の倉庫ではなく冷蔵倉庫や冷凍倉庫が必要になります。
食品の管理に不可欠な「冷蔵倉庫」とはどのような倉庫なのでしょうか。
冷蔵倉庫とはどういったものなのかということから、冷蔵倉庫の保管温度の定義、冷蔵倉庫のメリット・デメリットについて確認していきましょう。
冷蔵倉庫とは?
冷蔵倉庫は、日本全国で約3300万㎥存在しており、
- 人口の多い地域
- 水産物・畜産物・農産物の生産量が多い地域
- 外国から食品が輸入されてくる大きな港のある地域
などに多く見られます。
しかし、そもそも冷蔵倉庫とは、どのような倉庫を指すのでしょうか。
簡単に言うと冷蔵倉庫とは、「10℃以下の温度で、保管する貨物の特性に合わせて保管をおこなう倉庫」のことをいいます。
主に、冷蔵倉庫では、海産物、畜産物、農産品、冷凍食品等の食品が中心に保管されており、私たちの元へ、食品を安心かつ安全に届けるためには必要不可欠です。
また、「倉庫業をおこなうには、国土交通大臣のおこなう登録を受ける必要がある」と倉庫業法に定められており、この登録を受けた冷蔵倉庫のことを「営業冷蔵倉庫」と呼びます。
倉庫の保管温度で種類分けがされている
倉庫は保管する温度帯によって、種類が分けられています。
冷蔵倉庫のように、低温で商品を保管している倉庫があれば、特に温度管理をせずに、常温で保管している倉庫もあります。
つまり、保管する荷物の性質によって、適した温度帯の倉庫で保管する必要があります。
倉庫を温度帯で区分すると何種類に分けられるかというと、基本的には3温度帯に区分されます。
- 常温(ドライ):10℃~20℃
- 冷蔵(チルド):-5℃から5℃
- 冷凍(フローズン):-15℃以下
になります。
倉庫の4種類の保管温度区分
倉庫を温度帯で区分した場合、基本的には3温度帯に区分されますが、実際の物流倉庫では、食品の種類や保管温度に合わせて、以下のように4種類の保管温度に区分されます。
- 常温倉庫
- 定温倉庫
- 冷蔵倉庫
- 冷凍倉庫
冷蔵倉庫はこの場合も独立して区分されています。
それぞれ実際の物流倉庫の保管温度で区分された倉庫を確認していきましょう。
常温倉庫
常温倉庫とは、最も一般的な倉庫で、倉庫内の温度は特に調整されていないタイプです。
そのため、倉庫内の温度は外気温と変わらないため、夏場は暑く、冬は寒いというように、季節の影響を受けやすいです。
一方、倉庫内温度の調整が特にないので、比較的安価に荷物を預けられます。
常温倉庫に保管するのに適した荷物は紙や瓶、段ボールなど、温度変化に強いものが挙げられます。
逆に、食品や薬品など、温度の影響を受けるものの保管には適していません。
低温倉庫(定温倉庫)
倉庫内の温度が10℃から20℃の間に保たれているのが、低温倉庫です。
倉庫内の温度が一定に保たれているので、温度変化の受けやすい物の保管も可能です。
低温倉庫に保管されるものには、ワインや生鮮果実、生鮮野菜などが挙げられます。
低温倉庫が登場したことによって、収穫した野菜や果実を長期保管し、旬の時期に合わせて出荷することが可能となっています。
冷蔵倉庫
冷蔵倉庫とは、倉庫内の温度が10℃以下で保たれている倉庫のことを指します。
主に、食品の保管に使われ、食肉や水産物、農産物、乳製品などの保管に適しています。
ただし、食品の性質によっては、よりきめ細かな温度管理が必要となります。
冷凍倉庫
冷蔵倉庫の中でも、特に保管温度が-20℃以下のF(フローズン)級に該当する倉庫を冷凍倉庫と呼びます。
冷凍倉庫では、主に、魚介や冷凍食品、アイスクリームやマグロなどが保管されます。
冷蔵倉庫の保管温度による等級
食品の性質によっては、よりきめ細かな温度管理が必要になる場合がある冷蔵倉庫はさらに細かく分類され、その中に冷凍倉庫が含まれる場合があります。
冷蔵倉庫は保管温度によって、以下の7種類の等級に分類されます。
- C3級 +10℃以下~-2℃未満
- C2級 -2℃以下~-10℃未満
- C1級 -10℃以下~-20℃未満
- F1級 -20℃以下~-30℃未満
- F2級 -30℃以下~-40℃未満
- F3級 -40℃以下~-50℃未満
- F4級 -50℃以下
特に、-20℃以下のF(フローズン)級の倉庫のことを冷凍倉庫と呼びます。
冷蔵倉庫の場合でも、+10℃以下から-20℃未満まで開きや違いがあるといえるでしょう。
冷蔵倉庫のメリット
常温倉庫と比べ、冷蔵倉庫では温度管理が必要となるため、保管コストは高くなります。
しかし、コストが高くなっても冷蔵倉庫で保管をすることにはメリットもあります。
冷蔵倉庫のメリットを確認していきましょう。
廃棄ロスを減らせる
冷蔵倉庫で保管することで、保管期間を延ばせすことができます。
例えば、予定の注文がなくなったり、災害や事故などで発送できなかった場合、廃棄せずに保管しておくことが可能です。
また、もし冷蔵倉庫が無ければ、スーパーなどの販売店ですべて保管しなければいけません。
しかし、販売店の倉庫に入りきらなければ、食品などは劣化してしまい、廃棄する必要が出てきます。
冷蔵倉庫があるおかげで、無駄な廃棄ロスを減らすことができるので、廃棄コストの削減にもつながります。
商品の品質を保てる
食品など、温度によって劣化してしまうものについては、冷蔵倉庫で保管することで、鮮度を保ったまま消費者に届けられます。
特に、食品には、品質を維持するための保管温度も定められています。
もしも、温度管理がしっかりできていないまま、消費者に渡ってしまえば、食中毒を引き起こす可能性もあります。
冷蔵倉庫があるおかげで、食品の鮮度をしっかり管理でき、新鮮な状態で消費者に提供が可能となるのです。
つまり、私たちの安心・安全を守ることにもつながっています。
冷蔵倉庫のデメリット
冷蔵倉庫にもデメリットはあります。
冷蔵倉庫を使用する際には、メリットだけでなく、デメリットを把握することも重要です。
冷蔵倉庫のデメリットを確認していきましょう。
コストがかかる
冷蔵倉庫内の温度を一定に保つためには、温度調整システムが必要となり、24時間管理しなければいけません。
さらに、倉庫を管理するための人件費も必要になり、通常の倉庫と比べ、やはり、コストは高めになります。
作業員の負担が大きい
冷蔵倉庫内でも、通常の倉庫と同じように、作業員が商品を棚入れしたり、出庫したりしています。
冷蔵倉庫のデメリットとしては、このような作業員に負担がかかることが挙げられます。
具体的には、温度が低ければ、長時間倉庫内に入っていられなかったり、外との温度差がある場合には、作業員の体調に負担がかかります。
冷蔵倉庫の管理にもzaico
通常の倉庫に比べて、冷蔵倉庫はシステムなども含めて、コストがかかります。
しかし、商品の品質を保ち、安全・安心に消費者に商品を届けるためにも冷蔵倉庫は必要不可欠です。
また、温度によって作業が難しい場合もあるので、冷蔵倉庫の場合はできるだけ在庫管理を簡単にすることが重要になります。
冷蔵倉庫を含む倉庫の物品や在庫管理を効率的に行いたいとお考えの場合、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoはクラウド在庫管理システムになるので、倉庫外でも在庫管理が行えたり、倉庫内の作業の軽減につなげることも可能です。