棚卸作業は、在庫を確認するだけでなく、これまで行っていた在庫管理が正しい管理方法かどうかを確かめるためにも行われます。
しかし、棚卸作業をすることで在庫の数が多いことに気づき、そこでやっと在庫管理のミスが発覚する場合もあるでしょう。
ほかにも、棚卸作業の方法が不適切であるなど、さまざまな原因が浮き彫りになることもあります。
なぜ棚卸をして在庫が多い状況になるのか、棚卸をした際に在庫が多い理由や在庫が多い場合にどう対処すれば良いのかについて確認していきましょう。
棚卸で在庫が多いとどうなる?
棚卸は、現在の在庫をすべて数え直し、これまでの在庫管理が合っているかどうかを確認する作業です。
そのため、基本的には在庫管理をしていた時と同じ在庫数であるはずなので、棚卸時に在庫数が多い状況になるということは何かしらのミスや不備が生じている可能性があります。
棚卸で在庫が多いと、以下のような作業が発生してしまい業務が滞るでしょう。
- 在庫管理の見直し
- 棚卸作業のやり直し
棚卸は在庫管理の数と在庫数が合っていることが前提なので、在庫数が多く在庫管理と数が合わない状況は、ミスが発生している状況です。
棚卸時の数えミスであればまだ問題ありませんが、数えミスでない場合は在庫管理やその他のミスや原因が考えられます。
在庫管理での数えミスか、もしくは誰かが改ざんしたのかなど、さまざまな要因を探ることになるかもしれません。
場合によっては棚卸作業を中断し、原因究明に時間を割く必要も出てきます。
棚卸で在庫が多い状況になってしまう原因
棚卸で在庫が多い状況になってしまうのはなぜなのでしょうか。
棚卸で在庫が多い状態になる原因について確認していきましょう。
情報共有ができていない
棚卸前に大量に納品があった場合など、急遽在庫が増えたタイミングで棚卸をした場合、棚卸で在庫が多い状況となる可能性もあります。
このような情報共有ができていれば、在庫が多い状況でも焦らずに対応できますが、情報共有ができていない場合、在庫が多い状況に混乱する可能性も高いです。
棚卸をするためには、まずは在庫の状況を把握できるよう情報共有することが大切です。
在庫管理に記載できない在庫が納品する可能性や、納品する数をしっかりと伝えておけば、棚卸のタイミングで在庫が多い状況に陥ることもありません。
需要の予測ができていない
そもそも需要の予測ができておらず、大量に納品している可能性もあるでしょう。
棚卸のタイミングが年に一回であったりなど頻度が低い場合、棚卸の際にはじめて在庫が多いことに気づくかもしれません。
「思っていたよりも売れ残った」と感じるような在庫数は、売り上げも赤字になるため納品数を考える必要があります。
たとえば、需要の予測をしてから納品できるように、トレンドのリサーチや、なにが売れているのかなどの流入の分析を行うことも大切です。
商品の価値が下がり売れ残った
トレンドが終わり、商品の価値が下がったことで売れ残ったものもあるかもしれません。
「今人気だから」「絶賛売れているから」という理由で大量に納品したことで、流行が去り売れ残った場合、大量の在庫を抱えてしまうことになります。
日用品や生活消耗品などの常に必要とされるものであれば、大量に納品して長い期間かけて売っていくこともできますが、一時的な流行品の場合、短期間で売ることを目標にする必要があるでしょう。
突然商品の価値が下がることもあり、今後どうなるかは誰にも予測できない部分でもあるので、大量に納品することを避けることも大切です。
計算が合っていない
そもそも計算が合っていない場合もあるでしょう。
棚卸作業での計算間違いが起きているか、そもそも在庫管理での計算があっていないかはわかりませんが、どちらかの作業でミスが起きている可能性もあります。
または、在庫管理と棚卸で計算の仕方があっていない可能性もあるでしょう。
在庫管理のときには1箱ずつ数えていたものが、棚卸では箱の中身も一緒に数えていると、在庫の数が多いと勘違いすることも考えられます。
どのように数えるのか、計算方法を統一した上で棚卸作業を行うことも大切です。
トレンドの仕入れができていない
トレンドの把握ができておらず、別のものを仕入れている可能性も高いです。
たとえば、A社のAという商品が流行なのに、B社のAを仕入れていると、大量に在庫が残ることもあるでしょう。
同じ商品でもメーカーが異なるとまったく違うものになります。
このように、正確なトレンドを仕入れることができておらず、大量に在庫を残してしまうこともあるので、トレンドに合わせて納品するのであれば正確な情報を仕入れることが大切です。
在庫管理が不適切である
そもそも在庫管理の方法が不適切であり、過剰在庫となっていることもあります。
本来の在庫の数で合っているのに、在庫管理の情報があっていないことが原因で、過剰在庫となっていることも考えられるでしょう。
この場合、在庫管理をしている最中のどこにミスがあったのかを見直す必要があります。
棚卸をしているのに、在庫管理を見直さなければならず二度手間です。
業務が滞ることも考えられるので、在庫管理をする場合はミスが起きないように正確におこなう体勢を整えることも必須となります。
棚卸でミスが起きている
棚卸作業でミスが発生しており、過剰在庫に見える状況となっている可能性も高いです。
本来は正確な数なのに、棚卸での数え間違いや記録ミスが原因で、「こんなにあるはずのない数となってしまう」こともあるでしょう。
ミスが発覚すれば、ほかにもミスが発生している可能性が考えられるので、棚卸作業を最初からやり直す必要があります。
最初からやり直すとなると業務も滞り、円滑に作業が進まず、さらに別の箇所でミスが発生してしまう可能性も高いです。
棚卸作業でのミスが発生しないように、作業環境を整えることも大切となるでしょう。
棚卸で在庫が多い場合にできること
棚卸で在庫が多いと発覚した場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
棚卸で在庫が多い場合にできることについて確認していきましょう。
廃棄処分する
消費期限など期限が定められているものに関しては、廃棄処分しましょう。
なかには期限切れのものもあるかもしれません。
大量に廃棄処分することは心苦しいものですが、品質の下がったものを顧客に売るわけにはいきません。
廃棄処分し、次は過剰在庫にならないように適切な数を納品することを心がけましょう。
セールなどを検討する
有効期限などがない場合や、有効期限まで期間がある場合は、セールを行って在庫を一掃するのも手です。
本来の価格よりも安い価格で売るため利益を得ることは難しいかもしれませんが、赤字を抑えることはできます。
また、セールにともなって他の商品の購入が増える可能性もあるので、むしろ黒字になる可能性もあるでしょう。
ただ在庫を一掃するためにセールをするのではなく、他の商品と絡めたり、別の商品の売り上げを高めるための計画を立てることも大切です。
納品数の再計算をする
在庫が多い場合、もう一度納品数の計算をし直すのも良いでしょう。
予想に反して在庫が多い場合は、納品数が多すぎた可能性も考えられます。
納品数を再計算することで、どこで納品が多かったのかの分析が可能です。
棚卸をして在庫数が多かっただけで終わるのではなく、在庫数が多かった原因を探った上で、同じミスをしないための解析を行うことがなによりも大切となります。
在庫管理の見直しをする
在庫管理の方法が不適切であり、在庫数が多くなっている場合もあります。
たとえば、在庫管理の記録ミスや記載漏れ、誰かによってデータが改ざんされたなど、在庫管理がずさんであったことが原因である可能性も高いです。
どのような在庫管理をしていたのか、ルールを見直したり、実際にどのように管理しているのか現場の体勢を整えることも必要となるでしょう。
もしもアナログで管理している場合、簡単にデータ改ざんができてしまいますし、ルールが決まっていないと誰でも記載できるだけでなく確認されずに記入されるので、正しい数かどうかもわかりません。
このようなずさんな管理が、在庫数が過剰になってしまっている原因の1つである可能性も高いです。
適切な在庫管理にするためにもまずは在庫管理を見直し、適切な在庫管理にするためにデジタルツールの導入なども検討すると良いでしょう。
棚卸で在庫が多い状況を改善するには
棚卸で在庫が多い状況を改善するにはどうすれば良いのでしょうか。
棚卸をして在庫が多い状況を作らないためにできる改善方法について確認していきましょう。
在庫管理を徹底する
在庫管理がずさんだと、途中で在庫の数を数え間違えてしまい棚卸の作業が滞ってしまいます。
まずは、在庫管理するために必要なルールを決めることが大切です。
たとえば、以下のようなルールを決めて徹底させましょう。
- ダブルチェックしてから確定する
- 誰が記入したのか分かるように名前を記載する
- 使用数だけではなく増減数も記入する
- ロット番号など細かい部分も管理する
在庫管理にミスが生じると棚卸作業にもミスが発生してしまうので、正確に在庫管理することが求められます。
そのためには、従業員一人ひとりがルールを徹底して管理することが大切です。
ルールが決まっていなかった場合はルールを決めて、ルールがあるのに徹底されていなかった場合は研修期間を設けるなどして、正確な在庫管理ができるように環境を整えましょう。
デジタルツールを導入し在庫管理をする
デジタルツールを導入すれば、アナログでの在庫管理よりも正確な在庫管理が可能となります。
誰が記載したのかログの確認が可能なので、データの改ざんもされにくくなるでしょう。
数え間違いや計算ミスがあった場合エラーが表示されるので、計算ミスしたまま管理されることもありません。
このように、デジタルツールを導入すれば、ミスを未然に防ぎ正確な状態で在庫管理ができます。
在庫管理が正確であれば在庫数が多い状況になっても、在庫管理表を見直す必要はありません。
棚卸時に在庫数が多い状況になったとしても、やるべき作業が一つ減るだけで手間がかからず楽になるでしょう。
在庫管理するだけでなく分析も行う
棚卸で在庫が多い状況になった場合、在庫管理や棚卸を見直すことを優先する場合も多いです。
しかし、在庫管理や棚卸しにミスがあったわけではなく、単純に多く納品していたなどのミスが原因である場合もあるでしょう。
この場合、在庫管理や棚卸しを徹底するだけでは改善できません。
在庫管理を正確におこなった上で、商品の増減数や消耗数、納品数などを計算し、どれくらいの需要率なのかなどを計算することも大切です。
在庫管理は、ただ在庫の数を記録するだけではなく、今後どの商品を納品していけば売り上げが上がるのか、分析するためにも使われます。
棚卸で在庫が多いという状況を作らないためにも、日頃から分析をするように心がけましょう。
棚卸で在庫が多い状態の改善にzaico
棚卸しで在庫が多いのは、計算ミスや在庫管理のミスなどが原因として考えられます。
ミスのない在庫管理や棚卸をしたい場合、アナログではなくデジタルで実施したほうが効果的です。
また、ただ管理するだけではなく在庫管理から物流の分析を行うことも在庫が多い状態の改善に繋がるでしょう。
ミスなく、在庫管理や棚卸を行いたいのであれば、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入を検討してください。
zaicoを利用したことで適切な在庫管理を実現できたということはもちろん、大幅に棚卸の作業時間を短縮できた例も多くあります。
棚卸で在庫が多い状態を防ぎたい、棚卸を効率化したいとお考えの場合は、お気軽にzaicoにご相談ください。
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