業務効率が向上したり、コストの削減など、ペーパーレス化の目的を適切に理解していなければ、なかなかペーパーレス化が進まない、効果的にペーパーレス化を行えないこともあります。
ペーパーレス化にはどのような目的があるのか、ペーパーレス化の目的を適切に設定するポイントを確認し、ペーパーレス化が進まない理由や効果的な方法について考えていきましょう。
ペーパーレス化は目的があって行うもの
ペーパーレス化は、紙の書類や文書を電子化することを言います。
納品書や請求書、研修資料や通知書など、企業活動ではさまざまな書類が発生します。
そういった書類の保管や管理に苦慮する企業は少なくありません。
それらの課題解決に有効とされるのが「ペーパーレス化」であり、テレワークの推進に伴って、書類の電子化に取り組む企業や必要性は増加しています。
電子化は2019年4月に施行された「働き方改革」の具体策の一つに含まれており、2021年3月1日より施行された「改正会社法」では、株主総会関連資料の電子送付が義務化されたり、2022年1月に改正された「電子帳簿保存法」では、紙で受領した書類のスキャナ保存(電子データによる保存)の制限が緩和されたりと、ペーパーレス化は国を挙げて推進されています。
ペーパーレス化は働き方改革の具体策であることや法改正が行われていることからも分かるように、ペーパーレス化は単に電子化だけを目的としたものではありません。
企業活動の中で発生する文書にかかわる業務の効率化を目指して実施されるものなのです。
「紙を減らせばいい」「デジタルを活用すればいい」というものではなく、ペーパーレス化の目的は明確に設定する必要があると言えるでしょう。
ペーパーレス化の目的は?
ペーパーレス化によって、文書にかかわる課題が解決され、業務の効率が向上するといわれています。
具体的なペーパーレス化の目的について見ていきましょう。
環境への貢献
紙の使用量を減らすことができれば、森林の伐採を減らし、紙の製造に必要な水やエネルギーなどの資源を節約することで環境に対する負荷を軽減します。
また、紙の製造や廃棄に伴う二酸化炭素の排出量の削減にも寄与します。
ペーパーレス化は、そういった環境保全への取り組みによる企業価値の向上にも効果的です。
環境に優しい企業として、消費者や社会からのイメージも向上します。
生産性の向上
書籍や書類では、一度に情報を共有できる従業員の人数に制限があったり、必要な情報の検索に時間がかかったりすることがあります。
一方、デジタル文書はキーワード検索やフォルダー整理などが容易であり、従業員は素早く必要な情報を見つけることができます。
情報を取得するまでの時間を比較しただけでも、その違いは歴然です。
また、リアルタイムの共有やコラボレーションツールの活用により、チームのコミュニケーションと効率が円滑になります。
ペーパーレス化で業務の円滑な進行を実現することで、生産性が向上します。
コスト削減
ペーパーレス化では、印刷や郵送、保管などの紙ベースの業務にかかるコストが削減されます。
プリンターやコピー機で使用するインクの量も少なく済み、文書の管理や保存にかかる費用も低減されます。
また、書籍や文書などで使用される紙は、年数の経過と共に劣化が進むことがあり、定期的なメンテナンスが必要です。
新たに印刷し直したり購入し直したりすることがあれば、新たなコストが発生します。
ペーパーレス化では、コスト削減とともにメンテナンスの手間を省くことができるので、円滑な業務の遂行にも効果的です。
データセキュリティの強化
企業内が最も避けたいことに情報漏洩があります。
紙を使用した情報管理は書類の紛失や盗難が起きるリスクがあるため、情報の保全に対する安全性が低いことがあります。
ペーパーレス化でクラウドベースのデータストレージを利用すれば、重要な書類の一括管理が可能です。
また、データの暗号化やアクセス制御などでセキュリティ対策機能を利用して情報を保護すれば、データの安全性が向上します。
アクセス性の向上
業務の効率を上げるには、データの共有のしやすさや探しやすさに注目する必要があります。
書籍や文書で情報が保管されている場合、必要な情報を取得するためにはそれらの保管場所に移動したり、該当のファイルを探し出したりしなければなりません。
遠方にいる場合は、即座に情報を取得するのが困難になってしまいます。
また、保管場所に入りきらない書類を別な場所で保管するようなことがあれば、情報にアクセスするまでに無駄な時間が発生するでしょう。
電子化した書類は、さまざまなデバイスで共有できます。
いつでもどこからでも情報にアクセスできるようになり、業務の効率向上に大きな効果をもたらします。
ペーパーレス化の目的を適切に設定するポイント
ペーパーレス化には明確な目的が必要です。
ペーパーレス化の目的を適切に設定するポイントについて見ていきましょう。
ビジネスのニーズと目標を理解する
ペーパーレス化の目的は、ビジネスのニーズや目標に合わせて設定する必要があります。
たとえば、環境への貢献やコスト削減など、具体的な目的を明確にしましょう。
目的を明確にすることで、方向性や行動指針が定まり、ペーパーレス化が実現しやすくなります。
ステークホルダーの関与を確保する
ペーパーレス化の目的を設定する際には、関係者や利害関係者とのコミュニケーションを図り、彼らのニーズや要望を考慮に入れることが重要です。
彼らの意見やフィードバックを取り入れることで、より包括的で持続可能な目的を設定することができたり、関係者の理解と協力を得ることで、ペーパーレス化の推進がスムーズに行われたりします。
定量的な目標を設定する
目的を設定する際には、具体的で測定可能な目標を設定しましょう。
たとえば、紙の使用量を何%削減するか、業務プロセスの効率を何%向上させるかなどです。
定量的な目標を設定することで進捗の追跡が容易になり、必要に応じて戦略や取り組みを調整しやすくなります。
長期的な視野を持つ
長期的な視野を持つことは、ペーパーレス化の成功に不可欠です。
ペーパーレス化の目的は、短期的な利益だけでなく、長期的なビジョンに基づいて設定することが重要です。
技術は日々進化しており、ペーパーレス化の手法やツールも変化しています。
最新のツールやシステムを導入するなど、将来の技術や業界の変化を考慮に入れることも必要です。
柔軟性を持たせる
ビジネス環境や業界の要件は常に変化しています。
ペーパーレス化の目的は、変化する状況や環境に対応できるように柔軟性を持たせる必要があります。
新しい技術やニーズが出現した場合、柔軟な戦略を採用し、迅速に対応することが重要です。
目的はあってもペーパーレス化が進まない原因
ペーパーレス化が業務効率化に効果的であるとわかっていても、なかなか進展しないということがあります。
目的はあってもペーパーレス化が進まない原因について考えてみましょう。
文化や習慣の変化への抵抗
ペーパーレス化は、従来の文化や習慣に変化を求めるものです。
従業員が紙ベースの作業方法に慣れ親しんでいる場合、デジタル化への抵抗が生じることがあります。
デジタルが苦手だったり弱かったりする従業員が多い場合には、文化の変化や新しい作業プロセスへの適応に時間がかかることがあります。
システムの導入や移行に伴う課題
ペーパーレス化を実現するためには、新しいシステムの導入や既存のプロセスのデジタル化が必要です。
システムの互換性、データの移行、セキュリティの確保などのさまざまな課題に対処するためには、事前の詳細な計画と適切な技術的リソースの確保、外部機関との連携が不可欠です。
特に、大規模な組織や複雑なシステムの場合は、移行にかかる時間やリスクも正しく評価しなければなりません。
また、ペーパーレス化を導入するためには、サーバーや複数のデバイスの準備が必要です。
導入コストの総額を考えると、金銭的に余裕がない企業はペーパーレス化に消極的になることがあります。
チームのスキル向上とトレーニング不足
従業員が適切なトレーニングを受けずに新しいシステムを使用することは難しいものです。
特に、デジタルに対して苦手意識が強い従業員が多い場合は、新しいデジタルツールやシステムを使用するための十分なスキルが必要です。
スキルの不足やトレーニングの不足が原因で、ペーパーレス化が妨げられてしまうことは大いにあり得ます。
ペーパーレス化に対する誤解や不信感
ペーパーレス化にはセキュリティやプライバシーの問題が関連しています。
従業員や関係者がデジタル化のプロセスに対して不信感を抱く場合、ペーパーレス化の進展が遅れることがあります。
また、デジタル文書の管理や保存に関する誤解も、ペーパーレス化の障害になることも少なくありません。
不正アクセスによる個人情報や機密情報の漏洩、情報の持ち出しやすさから情報の不正流用など、電子化によるリスクが全くないとは言い切れません。
システム障害が起こると、復旧するまでの間は業務を中断しなければならない場合があります。
そのような場合にバックアップが不十分であると、情報を消失することもあり得ます。
このようなデータの安全性や永続性への疑問によって、ペーパーレス化に消極的になることは少なくありません。
目的に合わせたペーパーレス化の効果的な方法
ペーパーレス化の効果的な方法はさまざまあります。
どのような方法を選択するかは、ペーパーレス化の目的に合わせるのが良いでしょう。
目的に合わせたペーパーレス化の効果的な方法について見ていきましょう。
クラウドベースのデータ管理システムの導入
クラウドベースのデータ管理システムを導入することで、従業員はオフィス内や外出先からでもデータにアクセスし、共有できるようになります。
データの検索や整理が容易になり、業務効率の向上に効果的です。
また、データのバックアップやセキュリティ機能を活用することで、情報の安全性を確保できるため、情報の管理に対する負荷を軽減することもできます。
デジタル署名の活用
デジタル署名は法的にも有効であり、信頼性が高い方法です。
契約書や文書の署名プロセスにデジタル署名を活用することで、印刷や郵送にかかるコストや時間を削減できます。
また、オンラインで簡単に契約書に署名できるため、サービス提供やビジネスのスピードが向上します。
モバイルアプリやデジタルツールの活用
スマートフォンやタブレットなどのアプリケーションやデジタルツールを活用すれば、情報の共有や情報の更新をリアルタイムで行うことができます。
文書を印刷して配布する必要がなくなったり、場所や時間の制限なく情報を取得できたりするため、業務プロセスが向上します。
アクセス制限や暗号化などのセキュリティ対策を導入すれば、機密性の高い情報の持ち出す場合などのストレスも軽減されます。
社内教育やトレーニングの実施
ペーパーレス化に伴う文化や習慣の変化に対応するためには、社内教育やトレーニングの実施が不可欠です。
従業員に新しいデジタルツールやシステムの使い方を教え、スキルを向上させることは、ペーパーレス化の成功の鍵とも言えます。
定期的なトレーニングでスキルチェックを行えば、ミスやトラブルの発生を抑制できます。
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在庫管理の現場でも、ペーパーレス化は必須です。
紙やアナログのままでは記入漏れや確認の際の手間も大きくなってしまいます。
また、紛失のリスクや改ざんされやすい、などのセキュリティ面にも不安が残ってしまいます。
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