薬剤や処方箋を扱うのが特徴的な調剤薬局では、同じ医薬品を扱っているドラッグストアとは棚卸し作業が異なります。
実際に調剤薬局での棚卸しの特徴はどのようなものなのでしょうか。
調剤薬局で行う棚卸しの特徴や調剤薬局の棚卸しの方法、調剤薬局の棚卸しが重要になる理由を確認していきましょう。
調剤薬局でする棚卸しとは?
調剤薬局は、医薬品が販売されてるだけではなく処方箋も扱っています。
処方箋は、病院から処方された薬のことで一般的には市販されていない薬になるので、扱いには充分に気を付ける必要があり、ドラッグストアとは異なる管理が求められます。
たとえば、医者から「半錠処方」と指示をうければ、一錠分の薬剤を半分に割ることもあるため、基本的には1箱で数えるのではなく1錠ずつ数えるのがルールとなるなどです。
ほかにも、粉末状の薬であればg単位で管理するなど、ただ品数を数えれば良いだけではないのが調剤薬局の在庫管理や棚卸しになります。
もし棚卸しをした際に、在庫管理の記録と異なっている部分があれば大変な事態となります。
なぜなら、誰かが持ち出したのか秤量が間違っていたのか、原因を究明する必要が出てくるからです。
そのため、調剤薬局で棚卸しをする際は数え間違いなどが発生しないように厳重な管理の元で行う必要があります。
調剤薬局での棚卸しが重要である理由
調剤薬局での棚卸は、月に一回など頻度の高いペースで行われることがあります。
これは、調剤薬局での棚卸しが重要であるからです。
なぜ調剤薬局の棚卸しが重要なのかを確認していきましょう。
処方箋も扱っているから
調剤薬局では処方箋を扱っているため、厳重に管理する必要があります。
調剤薬局は一般的には市販されていない薬剤を扱っているので、在庫切れや有効期限切れなどを起こさないように管理する必要があります。
処方箋の場合、患者の病状によっては遠くまで出歩けず、家や病院近くの特定の調剤薬局でしか受け取れないこともあります。
市販薬であればドラッグストアやスーパー、コンビニなどで購入できますが、処方箋はそうはいきません。
処方箋を持って訪れる患者のためにも、棚卸しをして厳密に薬剤を管理することが調剤薬局には求められます。
重大な病気の患者にも医薬品を渡すことがあるから
調剤薬局を訪れる患者の中には、重大な疾患を患っている人もいるでしょう。
そのような患者にもしっかりと医薬品が行き渡るように、つねに棚卸し作業を行って在庫管理をする必要があります。
患者や病院のニーズにこたえられないと、調剤薬局としての役目が果たせません。
そのため調剤薬局では、どんな薬剤が求められているのか、どんな患者がくる確率が高いのか分析しながら、棚卸し作業で再度確認することが大切です。
持ち出されてないか確認するため
薬剤師であれば基本的にどの薬剤にも触れることができるので、人目を盗んで薬を持ち出すことも可能です。
調剤薬局で管理している薬剤は、基本的にg単位や錠ごとに管理しているので、数量持ち出したくらいではぱっと見はばれにくい特徴があります。
棚卸し作業をしてやっと、持ち出されたかどうかが分かることもあるので、定期的に棚卸し作業をする必要があるでしょう。
このように、調剤薬局における棚卸し作業は、在庫管理との齟齬の確認も含まれますが、持ち出されていないか、数えミスがないかなど、さまざまな側面から確認する必要があるので重要とされています。
調剤薬局の棚卸しの特徴
調剤薬局の棚卸しにはどのような特徴があるのでしょうか。
調剤薬局ならではの棚卸しの特徴を確認していきましょう。
医療に関わるものを扱っている
調剤薬局は薬局なので、医薬品をメインに扱っています。
処方箋以外に市販薬を扱っていることも多いので、市販薬と処方箋どちらも管理する必要があるでしょう。
反対に、ドラッグストアのように衣類や生活用品など、医薬品以外の商品が置かれているところは少ないです。
のど飴や栄養食品、サプリなどの食品を扱っているところはありますが、健康食品であることが多く、薬品に比べて数が少ない場合のほうが多いでしょう。
そのほかに、マスクや医療用タイツなど、基本的には医療に関わる商品しか置かれていないので、棚卸し作業をする際のジャンル分けはしやすいかもしれません。
処方箋についての確認が必要になる
調剤薬局は医薬品の販売のほかに処方箋への対応もメインの業務です。
そのため、棚卸しの際は医薬品の在庫確認だけではなく、処方箋に用いる医薬品の在庫切れがないか、現在どれくらい残っているのかなどの確認を行う必要があります。
処方箋の場合、処方箋を持ってくる患者の動向にも注目しなければなりません。
たとえば、産婦人科の近くにある処方箋であれば、妊婦などにも処方できる薬を用意する必要があるでしょう。
このように、どのような処方箋が持ち込まれるのか確認することも、棚卸し作業の一環です。
医薬品の詳細な記録も必要
調剤薬局では、適切な薬剤を確実に患者に渡す必要があるので、詳細な記録が必要となります。
たとえば、以下の記録が必要になる場合があります。
- 薬剤の正式名称
- ロット番号
- 有効期限
- 保管場所
- 購入日
これらの情報をしっかりと記録することで正確な在庫管理がされるので、より安全に患者に薬を渡すことができます。
医薬品に詳しい人が担当しないと難しい
調剤薬局での医薬品は、市販されていない薬剤を扱うことが多いため、できる限り薬剤師の免許を持っているような、医薬品に詳しい人が担当しないと難しい面があるでしょう。
一般的な棚卸し作業では棚卸し作業要員として別のスタッフが入ることもありますが、調剤薬局にいたっては棚卸しの際に秤量することもあるので、医薬品に詳しくないスタッフが担当するのは避けたほうがいいかもしれません。
薬剤師としての別の業務があるとは思いますが、スタッフ同士で協力しながらできる限り医薬品に詳しい人が担当できるようにするといいでしょう、
調剤薬局の棚卸しの効果的な方法ポイント
調剤薬局で棚卸しをする際は、効率的に進めることが大切です。
調剤薬局の棚卸しの効果的な進め方の方法やポイントを確認していきましょう。
計画を立てる
まずは計画を立ててから棚卸し作業を開始しましょう。
計画を立てる際は、以下の項目を考慮するといいかもしれません。
- 棚卸しを行う期間の設定
- 誰がどれを担当するのか作業分担
- 必要なツールの準備
- これまでの問題点のおさらい
棚卸し作業にどれくらいの期間を要するのかあらかじめ計算しておくことで、スケジュールの確認ができます。
期間を設定しなければ、だらだらと作業を行ってしまったり、無駄な時間が発生したり、いつまで経っても終わらない棚卸し作業にモチベーションも下がってしまうでしょう。
期限を決めればメリハリをつけて作業ができるので、モチベーションの維持にも繋がります。
また、調剤薬局は取り扱っている薬剤の種類が多いこともあり、一人で棚卸し作業をするには時間がかかりすぎてしまうこともあるでしょう。
正確に棚卸し作業を行うためにも分担制にし、グループで作業を進める工夫も必要です。
どんな薬品があるのか洗い出す
そもそも、調剤薬局内で扱っている薬品にはどのような種類があるのか、洗い出す必要があるでしょう。
これは、棚卸しの際に作業漏れがないか確認するためです。
棚卸し作業をする前に全ての薬品を洗い出し、チェック項目として管理表に記載しましょう。
確認したものにはチェックマークをつけていき、ひとつずつしっかりと確認していくことが大切です。
在庫管理と比較しながら行う
実際に在庫管理表と比較しながら行うことも効果的です。
仮に在庫管理表と比較せずに棚卸しをしていた場合、もしも棚卸し作業と在庫管理表で齟齬があった場合、すぐに気づけません。
全てやり終えた後にミスに気づいても良いですが、無駄な時間が発生するので非効率的です。
ひとつずつ確認しながら齟齬がないか見比べて、齟齬があったものに関しては発覚したと同時に別のスタッフに伝え、なぜ齟齬が生じているのか原因を究明することが求められます。
こうすることで、並行して作業を進めることができるので、無駄な時間が発生しません。
効果的に棚卸し作業を進めるためにも、在庫管理表を比較しながら棚卸し作業を行いましょう。
デジタルツールを使う
効果的に棚卸し作業を進めたいのであれば、デジタルツールに頼ることもおすすめです。
手作業で行うと確認漏れが生じたり、記録ミスが発生することもあります。
しかし、デジタルツールであれば手作業ではなくデジタルでの作業となるので、確認漏れも起こりにくいです。
たとえば、チェックしたものは画面上から消えていく仕様であったり、記載したものを確定する前に、再確認画面が出てくるなど、ミスを事前に防ぐ仕様となっているツールであれば、より効果的に棚卸し作業を進めることができるでしょう。
調剤薬局の棚卸しにもzaico
調剤薬局の棚卸しは、処方箋の扱いがあるために慎重に行う必要があります。
市販薬の棚卸しとは異なり、処方箋の場合は秤量を行う必要もあるので、できる限り医薬品に詳しい人が担当し、適切な分担やグループで作業を進められるような工夫を行いましょう。
また、調剤薬局での棚卸しでは医薬品の情報について詳細に記録する必要もあり、作業ミスや作業漏れが発生しやすい特徴もあります。
ミスなく、効率的に棚卸しを進めたい場合は、「クラウド在庫管理システムzaico」をご検討ください。
zaicoは一般的な商品を扱っている店舗だけではなく、病院やクリニック、処方箋などの特別なものを扱っている調剤薬局でも利用されている在庫管理システムです。
調剤薬局での棚卸し作業を効果的に進めたいとお考えの場合は、お気軽にzaicoにご相談ください。