棚卸のごまかしが発生する理由と棚卸のごまかしによる問題とリスク

棚卸のごまかしは、小さな問題と思うかもしれませんが、企業の信用低下や法的リスクにもつながる重大な問題です。

在庫を取り扱う企業ならどこでも起こり得る棚卸のごまかしを防ぐためには、棚卸のごまかしが発生する理由を理解して適切な対策を講じることが求められます。

棚卸のごまかしが発生する理由と生じる問題やリスク、棚卸のごまかしへの対策を解説します。

棚卸のごまかしとは

棚卸は、企業が保有する実在庫の数量や状態を確認し、帳簿上の記録と照合する業務です。

財務報告の正確性確保や、適正な在庫管理のために重要な業務ですが、ときとして意図的な「ごまかし」が発生する場合があります。

棚卸のごまかしとは、実際の在庫数量を過大に計上したり、逆に過小に計上したりする行為です。

また、不良品を正常品としてカウントしたり、架空の在庫を計上したりするケースもあります。

このような棚卸のごまかしは、どの企業でも起こる可能性があるため、棚卸のごまかしが発生する理由や問題・リスクを理解して対策することが重要です。

棚卸のごまかしが発生する理由

まずは、棚卸のごまかしが発生する理由を見ていきましょう。

作業のミスや漏れではなく、意図的に行われる棚卸のごまかしは、何かしらの狙いを持って行われます。

棚卸のごまかしが発生する主な理由を解説します。

業績の粉飾

業績の粉飾は、経営不審の企業などが、財務状況を実際よりもよく見せるために行われます。

棚卸のごまかしを利用した粉飾では、在庫数量を意図的に過大に報告して資産価値を水増しし、見かけ上の利益を増やすのが一般的です。

粉飾により、投資家や銀行などに対して好業績をアピールして株価を釣り上げたり、融資を獲得しやすくしたりしてビジネスを有利に進めるように偽装します。

税金の節減

企業の税負担を不正に軽減することも、棚卸のごまかしが行われる理由です。

棚卸をごまかして企業の利益を操作し、納める法人税の額を不当に減らすことを目的としています。

例えば、期末在庫を実際よりも少なく計上することで、資産価値や利益を過小に見せかけることが可能です。

それにより、課税対象となる所得を減らして、納税額を抑える狙いがあります。

意図して不正に納税額を減らす行為は脱税であり、刑事罰の対象にもなり得る違法行為です。

内部不正の隠蔽

棚卸のごまかしは、内部不正の隠蔽に使われることもあります。

内部不正の隠蔽とは、従業員が不正行為を隠すために棚卸データを操作することです。

例えば、従業員が商品を持ち出していた場合、棚卸時に在庫数量を操作して帳簿上の数字と一致させることで、不正が表面化しないようにします。

一時的に問題を隠せても、最終的には不正が発覚する可能性が高く、個人も企業も重い代償を負うことになりかねません。

作業ミスの隠蔽

作業ミスを隠蔽するために、棚卸のごまかしが行われる場合もあります。

作業ミスの隠蔽は、意図せぬミスによって在庫数量が一致しなかった場合に、棚卸での発覚を防ぐために行われるごまかしです。

例えば、数え間違いや入力ミスで在庫が不一致になっていることが発覚しないように、意図的に棚卸の結果をごまかすケースが挙げられます。

一見小さな問題にも思えますが、長期的には在庫管理の正確性を大きく損ない、さらなる不正の温床となる可能性もあるでしょう。

棚卸のごまかしで生じる問題やリスク

棚卸のごまかしは、在庫管理の現場や企業に多くの問題やリスクをもたらします。

棚卸のごまかしで生じる主な問題やリスクを見ていきましょう。

在庫管理の現場の混乱

棚卸のごまかしは、在庫管理の現場に混乱をもたらします。

実際の在庫数量と帳簿上の数量が乖離することで、いずれは過剰在庫や欠品が発生するため、その対応が必要です。

ごまかしが発覚した場合には、本来の業務に加えて、原因究明や再発防止の活動が求められることになります。

仲間の不正は現場の士気低下や、従業員間の信頼関係の崩壊につながり、業務効率を低下させるおそれもあるでしょう。

財務報告の信頼低下

棚卸のごまかしは、企業の財務報告の信頼性を著しく損なう重大な問題です。

不正確な在庫データは、売上原価や利益、資産の評価に影響し、投資家や取引先に誤った情報を発信することになります。

これにより、経営判断の基盤が揺らぎ、長期的な成長戦略に悪影響を及ぼすことにもつながりかねません。

一度信頼が損なわれると、その回復には長い時間と多大な努力が必要となり、長期的な経営への悪影響も考えられます。

法的リスク

棚卸のごまかしは、税務当局や監査法人によって不正行為とみなされる可能性があり、法的なリスクをともなう問題です。

例えば、税務調査で不正が発覚した場合、追徴課税が課されるだけでなく、刑事責任を問われかねません。

また、虚偽の財務報告が明らかになった場合には、詐欺罪や特別背任罪に問われる可能性があるほか、上場企業の場合には有価証券報告書虚偽記載罪に問われる可能性もあります。

こうした法的リスクは、企業の存続を脅かす深刻な問題です。

企業の信用失墜

棚卸のごまかしやそれによる粉飾が発覚すると、企業の社会的な信用は著しく低下します。

顧客や取引先、金融機関からの信頼を失うと、取引の縮小や停止、融資の引き上げなど、事業継続に直接的な影響を及ぼす事態に発展しかねません。

信用失墜は、企業のブランドイメージを傷つけ、経営に深刻な影響を与える可能性も高いでしょう。

信用回復には長い期間と多大なコストがかかるため、企業の競争力や成長性に長期的な悪影響を及ぼすことになります。

棚卸のごまかしを防ぐための対策

ここまで見てきたように、棚卸のごまかしは現場や企業に大きな問題やリスクをもたらします。

問題やリスクを避けるためには、棚卸のごまかしを未然に防ぐための対策が重要です。

棚卸のごまかしを防ぐための対策を確認していきましょう。

2人1組での実地棚卸

現場レベルで棚卸のごまかしを防ぐ対策として、2人1組での実地棚卸があります。

棚卸の作業を1人で行う場合、悪意を持った人にとっては自由に不正ができる状況です。

ペアを組んで作業する2人が相互にチェックしあうことで、棚卸をごまかせる機会をなくし、不正への誘惑を減らします。

2人1組での実地棚卸を行う際は、ペアを定期的にローテーションして癒着を防ぐことが重要です。

1人作業に比べて2倍の人数がかかりますが、棚卸の信頼性を高め、ごまかしのリスクを減らせます。

監査と内部統制の強化

監査と内部統制の強化は、組織的に棚卸のごまかしを防ぐための効果的な対策です。

監査や内部統制が緩い環境では、悪意を持った人が不正行為を実行に移す隙を与えてしまいます。

定期的な内部監査や外部監査の実施により、ごまかしや誤りを早期に発見し、是正が可能です。

また、権限の分離や承認プロセスの厳格化などの内部統制強化によって、不正が入り込む余地を減らせます。

監査や内部統制の強化を図る場合には、在庫管理の現場と独立性を保つことが重要です。

従業員教育と倫理規範の徹底

棚卸のごまかしを根本から防ぐためには、不正を許さないという従業員の意識や企業文化の醸成が重要です。

地道な取り組みを怠ると、従業員のモラル低下や、不正の常態化のリスクが高まります。

定期的に研修や勉強会を開催し、棚卸の重要性や正確性の意義を説明し、不正行為の重大性への理解を深めましょう。

また、企業の倫理規範を設定して、継続的に周知することで不正を許さないという意識を高めることも重要です。

時間はかかりますが、結果として企業全体のコンプライアンス強化と健全な組織づくりにつながります。

在庫管理システムの導入

棚卸のごまかしを防ぐための仕組みとして、在庫管理システムの導入も有効です。

手作業での在庫管理や棚卸作業では、不正を働く余地がたくさんあります。

自動化されたシステムの導入により、人手の介入を抑えてデータの客観性を高め、人為的な操作や改ざんを困難にすることが可能です。

在庫管理システムの導入は、棚卸のごまかしを防ぐだけでなく、在庫データの精度向上や従業員の負荷軽減にもつながります。

棚卸のごまかしを防ぐなら「zaico」

棚卸のごまかしは、どのような企業でも発生しうる問題です。

棚卸のごまかしが発生する理由には、業績の粉飾や税金の節減、不正やミスの隠蔽などさまざまな場合があります。

棚卸のごまかしが起こると、在庫管理業務の混乱はもちろん、公になった場合の企業の信頼低下も免れません。

ITを活用して棚卸のごまかしを防ぐなら、クラウド在庫管理システム「zaico」の導入をご検討ください。

zaicoのバーコードやQRコードスキャンを活用して棚卸を行えば、不正を働きにくくなります。

また、変更履歴で誰が・いつ・どんな操作をしたか確認できるので、棚卸のごまかしの原因究明も容易です。

zaicoに興味をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

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