在庫管理を始める際、エクセルを第一候補にする方は少なくありません。
しかし、賞味期限切れというミスが許されない食品の在庫管理にも、エクセルを使用することはできるのでしょうか。
食品の在庫管理をエクセルでするメリットやデメリット、食品の在庫管理表をエクセルで作成するポイント、食品の在庫管理に役立つエクセル関数などを確認していきましょう。
食品の在庫管理にエクセルは適している?
結論からいえば、個人事業主や小規模事業者など、管理する在庫の数が少ない企業であれば、食品を含めた場合でもエクセルでの在庫管理で問題ないことも多くあります。
しかし、事業規模の拡大によって扱う食品数や在庫数が大きく増える可能性があったり、管理に携わる従業員が多かったりする場合には、全ての食品の在庫管理をエクセルでするのは困難になるでしょう。
食品の在庫管理はエクセルで可能な場合もありますが、すべてのケースではなかったり、求める管理の内容や効率化、精度などの面ではエクセルが適していない場合もあります。
食品の在庫管理をエクセルですることが適しているかどうかを検討したうえで、適切な方法を選択するようにしましょう。
食品の在庫管理をエクセルでするメリット
食品の在庫管理をエクセルで行う最大のメリットは、導入コストがほとんどかからないことでしょう。
エクセルが標準搭載されているWindowsパソコンや、Googleスプレッドシートなどの表計算ソフトを使えば、費用をかけずに在庫管理を始めることができます。
また、操作に戸惑う従業員が少ないことや、自分好みの管理表の作成ができることなどもメリットといえます。
食品の在庫管理をエクセルでするデメリット
食品の在庫管理をエクセルでするデメリットは、柔軟な管理がしづらいことです。
特定のパソコンにエクセルファイルを保存した場合には、当該のパソコンでしか在庫管理の更新作業ができなくなってしまいます。
つまり、他の人がパソコンを使用している間は在庫管理作業ができなくなったり、別のパソコンで作業を行った場合にも、ファイル更新後、都度メールなどでの共有が必要になったりするのです。
また、エクセルは手入力が基本になるので使い方によっては紙などのアナログな方法と大差がない場合もあったり、入力できるデータに上限があります。
エクセルでの在庫管理には、ひとつのファイルで全食品を管理することが難しくなる、データの処理速度が遅くなり無駄な時間が生まれる、といったデメリットがあることも覚えておきましょう。
エクセルで作る食品の在庫管理表の種類
エクセルで作る在庫管理表には、大きく分けて2つの種類があります。
単票タイプ・在庫移動票タイプ、それぞれのエクセルで作る食品の在庫管理表の種類や違いを解説します。
単票タイプ
単票タイプとは、食品ごとにエクセルのファイルやシートを分けて管理するタイプの在庫管理表です。
吊り下げ票タイプ、と呼ばれることもあります。
表の基本的な作りは、A1から食品名・繰越残高などの必要情報を入力した下に、A列に日付、B列に入庫数、C列に出庫数、D列以降には担当者名・備考などを列見出しとして入力し、日を追うごとに行を増やして管理します。
単票タイプの在庫管理表は品目ごとに分かれているため見間違いが少なく、管理表自体の作成が容易という反面、複数の食品を一元管理するのが難しくなるといったデメリットがあります。
在庫移動票タイプ
在庫移動表タイプとは、1つのファイルやシートで複数の食品を管理するタイプの在庫管理表です。
表の基本的な作りは、1行目のA列に品番、B列に食品名、C列に日付など、必要項目を列見出しとして横に増やし、2行目は入庫数、3行目は出庫数というように、1つの品目に対して入庫・出庫を2行のみで管理します。
在庫移動表タイプは、複数の食品の入出庫状況がひとつの画面で確認でき、一元管理がしやすい特徴があります。
ただし、入力ミスが起きやすかったり、食品ごとの入出庫の備考がわかりづらかったりするといったデメリットがあります。
食品の在庫管理表をエクセルで作成するポイント
エクセルで食品の在庫管理表の作成に取り掛かる前には、まず、前項でご紹介した単票タイプ・在庫移動票タイプのどちらにするのかを決めておきましょう。
表タイプを決めた後は、食品の在庫管理表をエクセルで作成するポイントを確認したうえで作成の参考にしてみてください。
賞味期限の管理方法を決める
食品の在庫管理で最も重要なのは、賞味期限の管理です。
賞味期限切れの食品を誤って提供してしまえば、お客様に健康被害が及ぶリスクが増えるだけでなく、企業の信用を大きく毀損するおそれも生じます。
自社で扱う食品の数や、食品ごとの賞味期限を考慮したうえで、賞味期限切れを起こさない在庫管理表の作成にあたりましょう。
エクセルのテンプレートを使う
在庫管理表が上手く作れそうにない方は、エクセルテンプレートをダウンロードし、使いながら徐々にカスタマイズしていくのがおすすめです。
食品在庫管理のテンプレートを無料で公開しているWebサイトもいくつかあるようですので、気になった方はぜひ検索してみてください。
運用ルールを決める
適切な食品在庫管理を行うためには、運用ルールをあらかじめ決めておくことが大切です。
在庫管理表の入出庫管理や管理表自体の更新など、誰がいつ行うのかを決めておかないまま運用を始めてしまえば、ずさんな管理が続いてしまいます。
また、特定の人物にのみ在庫管理させるのも得策ではありません。
その方が体調不良によって欠勤になれば業務が滞ってしまいますし、急な退職ともなれば現場の混乱は避けられませんので、属人化は避けるよう心がけましょう。
クラウド管理や定期的にバックアップを行う
在庫管理表は、入出庫の状況を見て適正在庫を決めたり、発注数を決めたりする指標にもなります。
しかし、在庫管理表のエクセルファイルが消失してしまえば、これまでの入出庫データは一切使えなくなってしまいます。
よって、食品の在庫管理表のファイルやデータは、ローカルパソコンのみに保存するのではなく、バックアップを行ったり、クラウド型のエクセルで管理したりするのがおすすめです。
食品の在庫管理に役立つエクセル関数
食品の在庫管理をエクセルでするのであれば、関数を使ったほうが効率的に行えます。
食品の在庫管理に役立つエクセル関数を確認していきましょう。
SUM関数
SUM関数は、指定した範囲内にある数の合計を求める関数です。
入庫数の合計、出庫数の合計、在庫総数などを出したい時に便利な関数です。
IF関数
IF関数は、指定する条件によって表示結果が変えられる関数です。
たとえば、「賞味期限が切れた食品には“不可”を、賞味期限が切れていない食品には“可”を表示する」というように、条件に合致する・しない場合の表示結果が変えられます。
「在庫数が10未満の場合は“要発注”と表示する」「金額が10000円以上のものは”高額”と表示する」など、活用方法は多岐に渡ります。
VLOOKUP関数
VLOOKUP関数は、検索条件に一致したデータを抽出する関数です。
たとえば、B列のセルに指定する場合、「“ごはん”という文字が、A列内にある時、C〜D列の範囲内にある2行目(この場合はD列の数)を表示して」というような形で指定することができます。
VLOOKUP関数を使えば、別シートから必要な情報だけを抜き出すことも容易になりますので、「全食品の在庫総数まとめ」のような一覧表の作成、集計作業において、大幅な時間短縮が見込めることでしょう。
SUMIF関数・SUMIFS関数
SUMIF関数やSUMIFS関数は、文字通り、SUM関数とIF関数・IFS関数が組み合わせられた関数です。
指定した条件の合計値を求める時に使われます。
「A列内にある“ポテトチップス”という文字列を含むセルの在庫数を合算する」などのように、複数の在庫の合計値を算出する時に役立つ関数です。
PRODUCT関数
PRODUCT関数は、複数セルの掛け算が行えるSUM関数の掛け算版とも呼ばれる関数です。
たとえば、A1が100、B1が2である場合に「=PRODUCT(A1:B1)」と指定すれば、100×2の200という数が表示されます。
食品の在庫管理においては、ロット・バラの計算や、掛け率を計算したい時に役立ちます。
この他にも、ロットの切り上げ・切り捨ての計算に役立つCEILING関数やFLOOR関数や、製品番号など特定の文字列の開始位置を指定したい時に役立つMID関数・LEFT関数・RIGHT関数などの関数もあります。
食品の在庫管理はエクセルよりもzaico
食品の在庫管理は、エクセルでもすることができます。
しかし、エクセルではアナログな方法と変わらなかったり、入力ミスやセキュリティ面の不安、期限管理などが適切に行えないという面があります。
また、食品の在庫管理をエクセルでしていく中で無理や不備が生じてくる可能性も高く、そもそもエクセルが適していないケースもあるでしょう。
より精度や効率が求められる食品の在庫管理はエクセルではなく「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoには、賞味期限切れを防ぐアラートや、適正在庫数の予測・分析など、食品の在庫管理に役立つ機能が備わっており、食品を扱う企業にも多く導入されています。
食品の在庫管理をエクセルから脱却したいなど、食品や備品の在庫管理にお悩みの方はお気軽にzaicoへお問い合わせください。
※記事内に記載されたzaicoのサービス内容や料金は記事公開時点のものとなり、現行の内容とは異なる場合があります