在庫管理アドバイザーの岡本です。
在庫管理塾の読者の方からこんなご質問が来ました。
在庫管理を勉強中です。
御社WEBSITEに次のような説明があります。
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安全在庫の求め方安全係数とは、欠品をどれだけ認めるか?
という割合で、欠品許容率とも言います。
1 % = 2.33
5 % = 1.65
10% = 1.29
欠品の割合を減らそうと思うと、「安全係数が大きくなる=安全在庫数が多くなる」
欠品は絶対ダメ!
と仰る方が多いですが、統計学的に欠品がゼロというのはあり得ません。
よく使われる値は、5%です。
統計学的に有意と言われる差が5%です。
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5%が有意だということは、1%は有意ではなく、1%の欠品率というのは意味がな
い、ということでしょうか?
ご質問ありがとうございます!!
安全在庫を調べたときに必ず出てくる安全係数に関する質問ですね。
統計学を学んでいないとよくわからないですよね。
ここでまず、「統計学的に有意」という言葉がどういう言葉かを知っておく必要があります。
「統計学的に有意」は、得られた結果が結果に意味がある(起こるべくして起こった)か、偶然であるかという意味です。
安全係数の観点から言うと、「欠品が起こらない」ということが、(起こるべくして起こった)といえるのか、そうでない(=欠品が起こる)(起こらないことが偶然)なのかということになります。
ややこしいですね。
逆の言い方をすると、よくわかります。
欠品率5%ということは、欠品回避率は95%ということになります。
つまり、安全係数 = 1.65に設定すると、欠品を回避する確率95%という結果は偶然ではないく、
起こるべくして起こった。安全係数 = 1.65にすれば、欠品回避率95%といえる。
ということを言っているのです。
ご質問者は、欠品する確率が1%は「統計学的に有意といえないのですか?」というご質問に
ついてですが、「欠品率5%に収まる」のが「統計学的に有意」なので、欠品率5%以下(欠品回比率95%以上)は全て「統計学的に有意」なのです。
つまり、欠品率1%(欠品回比率99%以上)ももちろん、「統計学的に有意」です。
安全係数 1.65(欠品率5%)よりも 2.33(欠品率1%)のほうが大きいですから安全在庫数が
多くなるので、欠品はより起こりにくくなることはなんとなくわかりますね。
では、なぜ5%が「統計学的に有意」なのでしょうか?
欠品率6%だとなぜ「統計学的に有意ではない」のでしょうか?
実はこれには明確な基準はありません。
統計学では、5%という数字がさまざまな分野において「有意あり、なし」の境になっています。
ですので、あなたの会社が10%の欠品まで認める!
とすれば、10%以下が「統計学的に有意である」といえますし、
0.001%でないとだめだ!とすれば、たとえ5%でも御社にとっては統計学的に有意ではないといえます。
ただし、残念ながら統計学には、絶対というものはありません。
限りなくゼロに近づけることはできますので、0.000000・・・・1%という数字はありますが、欠品率0%は存在しないのです。
なぜなら、「欠品率0%が起こる=欠品が絶対に起こらない」という結果が起こるべくして起こった
とは誰もいえないし、そのようなデータは存在しないからです。
「統計学は過去のデータを使って、将来起こること(未来)を予測するものです」
AIがどんなに高性能になっても、コンピュータがどん何進歩しても、欠品率0%とは誰も言い切れないので。
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