棚卸しが合わないとどうなる?棚卸しの数が合わない原因と対策を解説

在庫の棚卸しで、実在庫と帳簿が合わずに苦労した経験をお持ちの方も少なくはないかもしれません。

在庫数量の不一致は、単なる数字の相違だけでなく、在庫不足や過剰在庫などの問題や企業の信頼性にも影響を与えます。

棚卸しが合わない状況を生まないためには、原因を理解して適切な対策をとることが大切です。

在庫管理の棚卸しが合わないと生じる問題や棚卸しが合わない原因、棚卸し差異が起きた場合の対処法や対策をわかりやすく解説します。

棚卸しが合わないとどうなる?

企業の在庫管理では、一般的に1年に1回や半年に1回などのサイクルで棚卸しを行います。

棚卸しとは、在庫の現物と帳簿上の数量を突き合わせて正しいかどうかを確認することです。

本来であれば数が一致するはずですが、日頃の在庫管理業務で発生するミスや盗難・紛失などさまざまな原因で、棚卸しの数が合わないことがあります。

棚卸しの数が合わないことは、単なる数字の相違だけでなく、さまざまな問題を引き起こします。

棚卸しが合わないとどうなるかを見ていきましょう。

在庫不足や過剰在庫が発生する

棚卸しが合わないとは、実際の在庫数と、システムや帳簿に記録されている数量にズレが生じている状態です。

棚卸しが合わないことにより、在庫不足や過剰在庫が発生するリスクが高まります。

在庫不足は、需要に対して商品が足りないため、顧客満足度の低下や売上の機会損失を引き起こす原因です。

一方、過剰在庫は保管コストの増加や商品の劣化、陳腐化のリスクを招きます。

経営判断に必要な情報が誤っていることで、事業戦略の立案や実行に支障をきたすおそれもあるでしょう。

財務諸表の信頼性が低下する

棚卸しが合わないことは、財務諸表の信頼性にも悪影響を与える問題です。

在庫は企業の資産として計上されるため、棚卸しの数が正確でない場合、資産価値が誤って報告されることになります。

財務諸表の誤りは、投資家や取引先からの信頼を損ない、企業の信用度を低下させる原因です。

さらに、正確な財務諸表が作成できないと経営判断にも悪影響を及ぼし、長期的な経営戦略の立案が難しくなる可能性があります。

在庫数量の正確な管理は財務の健全性を保つためにも不可欠です。

原因追求や再発防止に時間と労力が必要になる

棚卸しの不一致が発生すると、その原因を特定し、再発を防止するために多大な時間と労力が必要です。

まず、在庫データと実際の在庫を突き合わせ、差異の発生箇所を特定しなくてはなりません。

続く原因調査では、入出庫記録の確認や在庫移動の追跡、従業員へのヒアリングなど、広範囲にわたる調査が必要です。

原因が特定された後は、再発防止策の立案と実行が求められます。

これらの作業は日常業務に追加で行われるため、従業員の作業時間と労力の増加は避けられません。

棚卸しの数が合わない原因

実在庫と帳簿上の数量が合わない事象には、必ず何かしらの原因があります。

棚卸しの数が合わない代表的な原因を確認していきましょう。

数え間違いや入力・記入ミス

棚卸しの数が合わないもっとも大きな原因は、人為的なミスです。

疲労による集中力の低下や時間的制約による焦りなどに起因する単純な数え間違いから、数えた結果をシステムや帳簿に入力・記入する際のミスなどがあります。

また、単位の誤認、品目の取り違えによる誤入力・誤記入なども起こり得るでしょう。

これらのミスは、一度発生すると以降の在庫管理に影響を及ぼし続けるため、特に注意が必要です。

配送や仕入れのミス

配送や仕入れプロセスでのミスも、棚卸しの数が合わない原因の1つです。

例えば、仕入れ時に、発注した数量と実際に納品された数量の不一致が生じることがあります。

また、出荷時に商品の数量を誤って記録したり、実際の出荷数と伝票の数量が一致していなかったりすることも珍しくありません。

こうしたミスは、サプライヤーや物流業者との連携不足、急な注文変更への対応ミス、伝票の不備などが原因で起こり得ます。

盗難や紛失

棚卸しの数が合わない原因として、盗難や紛失も挙げられます。

従業員による内部不正や外部からの侵入者によって商品が持ち出されたり、保管場所が不明確なまま紛失したりする場合があります。

特に、高価な商品や小型で持ち運びやすい商品は盗難のリスクが高く注意が必要です。

盗難や紛失は、単に在庫数の不一致だけでなく、企業の資産損失や信用低下にもつながります。

在庫管理プロセスの不備

在庫管理プロセスそのものに不備があることも、棚卸しの数が合わない原因になり得ます。

例えば、在庫の入出庫をタイムリーに記録していない場合、記録が前後してズレが生じる可能性が高まるでしょう。

倉庫間の在庫移動を正確に追跡できていない場合にも、在庫数が一致しない可能性があります。

こうした在庫管理プロセスの不備があると、ミスや紛失などがなくても常に在庫数量の不一致が発生するリスクがあります。

棚卸しの数が合わないときの対処法

棚卸しの数が合わなかった場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか。

棚卸しで合わないからといって、実際の在庫数を増やしたり減らしたりすることはできません。

実在庫を正として、帳簿の処理が必要です。

実在庫のほうが少なく、帳簿のほうが多い場合には、「在庫減耗損」として計上します。

帳簿上から、ズレていた分を差し引く形です。

逆に、実在庫のほうが多く、帳簿のほうが少ない場合には、「繰越商品」として計上します。

こちらは、帳簿上にズレていた分を加える形です。

このようにして、実在庫を正として帳簿との整合性を合わせます。

また、帳簿上の処理と合わせて、原因の究明と報告も必要です。

棚卸しで数が合わないと、在庫不足や過剰在庫の原因となり、財務上の問題にも発展します。

原因を特定し、適切な再発防止策を講じることで、以降の在庫管理の精度を高めることが可能です。

棚卸しが合わない問題への対策

棚卸しの数が合わない問題に対してとるべき対策は、原因によってさまざまです。

棚卸しが合わない問題への代表的な対策を確認していきましょう。

在庫管理業務の改善

棚卸しの数が合わない問題の発生を防ぐためには、在庫管理のプロセスを厳格化して、差異が入り込む余地を少なくすることが重要です。

例えば、在庫の受け入れや出庫の際にダブルチェックによって、記録ミスのリスクを減らせます。

また、在庫の配置を最適化し、似た商品を離して配置することで、取り違えを防げるでしょう。

こうした改善を図ることで、日常の在庫管理業務の精度が向上し、棚卸し時の差異の発生を防ぐことにつながります。

棚卸しサイクルの短縮

棚卸しの頻度を増やすことで、在庫の不一致を早期に発見し、問題の拡大を防げます。

例えば、従来の年に1回や半年に1回の棚卸しだけでなく、月次や週次での棚卸しの導入が挙げられます。

特に動きの激しい商品や高額商品については、数量が合わないことによる影響が大きいため、より頻繁な確認は有効です。

すべての商品を頻繁に棚卸しするのは手間と時間がかかるため、商品をグループ分けして順番に棚卸しする「循環棚卸」が良いでしょう。

作業負担を分散しつつ、在庫状況を把握しやすくなります。

ITシステムの活用

ITシステムの活用は、在庫管理や棚卸し作業の精度向上と効率化に大きく貢献します。

例えば、在庫管理システムの導入により、在庫データのリアルタイム更新が可能となり、在庫の正確な記録や把握が容易になります。

また、バーコードやQRコードのスキャンを利用して、入出庫や棚卸しの記録を自動化することで、人為的なミスの削減が可能です。

ITシステムの導入は初期コストがかかるものの、長期的には在庫管理の効率と精度を向上させ、棚卸しが合わない問題の解消に役立つでしょう。

棚卸しが合わないの改善に「zaico」

在庫の棚卸しの数が合わないことは、在庫不足や過剰在庫が発生するリスクが高まるだけでなく、企業の信頼性にも影響する問題です。

在庫のズレが生じる原因には、人為的なミスや盗難・紛失、在庫管理プロセスの問題などがあります。

棚卸しが合わないこと自体はどこの企業でも生じ得る問題です。

発生後に原因を究明し、在庫管理・棚卸しプロセスの改善やITシステムの導入など、適切な対策を行いましょう。

棚卸しが合わない問題の改善にお悩みなら、クラウド在庫管理システム「zaico」の導入をご検討ください。

zaicoは在庫の一元管理による可視化や、バーコード・QRコードスキャンなど在庫管理の精度や効率を高める豊富な機能を搭載しています。

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