ペーパーレス化は、紙媒体の書類や文書を減らして電子化することですが、ただ電子化をするだけではペーパーレス化の効果は得られません。
また、適切なペーパーレス化の進め方でなければ、ペーパーレス化によって生じるリスクや課題の影響を受けてしまう場合もあります。
ペーパーレス化の進め方の重要性や具体的なペーパーレス化の進め方を確認していきましょう。
ペーパーレス化の進め方の重要性
ペーパーレス化の進め方が重要とされている理由は、ペーパーレス化による効果を最大限に発揮するためとペーパーレス化のリスクを軽減するためです。
紙の書類・資料を電子化するだけで完了しそうにも思えるペーパーレス化ですが、正しい進め方をしなければ、ペーパーレス化の本来の効果が発揮されなくなるばかりでなく、さまざまなリスクが生じてしまう可能性があります。
ペーパーレス化をすればいいと安易に考えるのではなく、ペーパーレス化は進め方が重要であるということを理解して適切に進められるようにしましょう。
ペーパーレス化の進め方は状態や規模で異なる
ペーパーレス化の進め方は、職場の状態や企業規模によって大きく異なります。
職場の状態を例にすると、それなりにデジタル化が進んでいる職場と、ほとんどをアナログ作業で進めている職場とでは、ペーパーレス化の難易度や進め方が異なることは明白です。
部分的にペーパーレス化を行うのか、大規模的にペーパーレス化を行うのか、でも進め方は異なるでしょう。
適切な進め方を選ばなければ効果が発揮されないだけでなく、悪影響が生じる場合がることを考えれば、ペーパーレス化の進め方は現状を踏まえたうえで考える必要があるといえるでしょう。
ペーパーレス化の進め方が不適切な場合の影響
ペーパーレス化の進め方が不適切な場合にどのような影響が起きる可能性があるのでしょうか。
ペーパーレス化の進め方が不適切な場合の影響を確認していきましょう。
業務効率が下がる
自社に合ったツールやシステムを導入しなかったり、運用ルールを決めずにペーパーレス化を進めたりした場合、データの管理が煩雑になり、かえって業務効率が低下することがあります。
操作が複雑なツールや、必要以上に機能が備わっているツールも、使いづらさから業務効率の低下につながるおそれがあります。
従業員のストレスが増加する
高年層の従業員が多い企業であれば、ペーパーレス化の適応に時間がかかる従業員がいたり、従業員間で差がついてしまったりすることもあるはずです。
自社に合ったペーパーレス化の進め方をしなければ、会社全体にペーパーレス化が浸透するまで、ストレスや不満を抱えたまま働くことになる従業員も生まれるでしょう。
リスクが高まる可能性がある
デジタルデータには、ヒューマンエラーによって引き起こされるデータ紛失や破損、不正アクセス、ハッキングなどのリスクがあります。
つまり、適切な対策を講じなければ情報漏洩や業務が停滞するリスクが高まるのです。
リテラシー教育やセキュリティ対策を行わずに進めるペーパーレス化はハイリスクである、ということは覚えておきましょう。
ペーパーレス化の進め方:目的を明確にする
ペーパーレス化を進める前に必ず行っておきたいのは、ペーパーレス化の目的を明確にすることです。
どんな業務改善にも通じる話ですが、目的が曖昧なままでは最終的なゴールがズレてしまったり、人員・時間・コストなど過剰なリソースが必要になったりする可能性が高くなります。
ペーパーレス化の目的は、無駄な資源やコストの削減、業務効率の向上、電子化に関連する法的義務を果たすためなど、企業によって異なるはずのはずですので、まずは自社が目指すべき方向性を明らかにしておきましょう。
ペーパーレス化の進め方:現状を把握する
ペーパーレス化の目的を明確にした後に行いたいのは、現状の把握です。
今ある書類や業務を、アナログとデジタルに二分していきます。
細分化すればするほどペーパーレス化した時の効果は上がりますが、そのぶん現状把握にかかる時間は増えます。
会社全体でペーパーレス化に取り組むのであれば、十分な調査期間を設けておくようにしましょう。
ペーパーレス化の進め方:媒体を決める
現状を把握できた後は、ペーパーレス化する紙媒体やアナログ業務を決定しましょう。
列挙した紙媒体やアナログ業務やあまりにも多い場合は、優先順位をつけ、一歩ずつペーパーレス化を進めていくのもひとつの手です。
また、大多数の取引先が紙主体で業務を行っていたりする場合、全ての紙媒体をペーパーレス化するのがよいとも限りません。
自社の従業員の性質や働き方、取引先の状況、ペーパーレス化にかける期間などを踏まえたうえで、ペーパーレス化する紙媒体を選定するのがおすすめです。
ペーパーレス化の進め方:ツールやシステムを決める
ペーパーレス化する書類や業務が決まったら、いよいよペーパーレス化につながるデジタルツールやシステムを検討するステップに移りましょう。
ペーパーレス化を実現するツールやシステムは、多岐にわたります。
イニシャルコスト・ランニングコストなどのコスト、利用可能な人数や機能、使いやすさ、サポート体制、相性のよい業種など特徴は千差万別ですので、自社の適正に合ったツールやシステムをじっくりと比較・検討してみてください。
ペーパーレス化の進め方:運用のルールを決める
運用ルールは、導入するツールやシステムを決定する前の段階で、おおまかに把握して決めておくのが得策です。
ペーパーレス化を進める担当者と、ツールを活用する従業員の数、利用頻度は最低限イメージしておきましょう。
- 実務の運用フロー
- バックアップやシステム更新のフロー
- トラブル発生時のフロー
- 運用マニュアル
- ペーパーレス化までの移行スケジュール
- コンプライアンス・リテラシー教育の内容
- セキュリティ対策
また、上記のルールなどを準備しておくと、さらにスムーズにペーパーレス化を進められるはずです。
ペーパーレス化の進め方:社内に周知し運用を始める
ペーパーレス化の対象、ツールやシステム、運用ルールが決まった後は、社内に周知して運用をスタートさせます。
運用開始前には必ず行いたいのは、従業員への教育です。
業務の進め方が大きく変わるわけですから、まずはペーパーレス化の目的や重要性をしっかりと理解してもらったうえで、ツールの操作方法、リテラシー教育などを行いましょう。
ペーパーレス化の進め方:効果の測定や改善を行う
ペーパーレス化は、紙媒体をデータ化し、ツールやシステムに落とし込んだだけでは完了とはいえません。
適切な運用を続けることではじめて、ペーパーレス化本来の効果が発揮されるのです。
運用開始後は定期的に効果を測定・共有し、PDCAやSTPDのサイクルを回し、よりよい状態を作り続けるよう心がけましょう。
ペーパーレス化の進め方のポイント
より効果的なペーパーレス化の進め方を実現するにはどのようなポイントを意識しておくといいのでしょうか。
ペーパーレス化の進め方のポイントを確認していきましょう。
ペーパーレス化の意義を従業員に理解してもらう
従業員の理解は、ペーパーレス化の成功には欠かせない重要なポイントです。
完全にペーパーレス化するまでには、経営層・従業員ともに相当な労力がかかります。
経営層はメリットをダイレクトに感じられるので、重い腰を上げることもできるでしょう。
しかし、新しいツールやシステムをインシデントを起こさずに使いこなし、業務効率化を図ってくれるのは他でもない従業員です。
業務負荷の軽減、多様な働き方ができる職場の形成、環境保護など、ペーパーレス化によるメリットをしっかりと理解してもらう機会をつくることが、ペーパーレス化の成功につながります。
従業員が使いやすいツールを導入する
従業員が使いやすいツールやシステムを導入するのも、ペーパーレス化の進め方のポイントです。
多機能・高評価のツールであっても、自社に適しているかどうかは実際に使ってみるまでわかりません。
多くのツールやシステムは無料体験ができるはずですので、気になったものは実際に使用感を確かめたうえで、決定するようにしましょう。
ペーパーレス化を進める速度を決める
ペーパーレス化は、段階的に進めるか、急進的に進めるかで進め方が大きく異なります。
デジタル業務に抵抗のない企業であれば、急進的に進めても問題ありません。
しかし、アナログ業務が多い企業が急進的にペーパーレス化を進めてしまうと、法的リスクが生じるおそれが高まります。
ただし、段階的に進める場合は、完全にペーパーレス化するまでに膨大な時間を要しますので、自社の従業員数や従業員の性質、業種や部署に合った進め方を選んでみてください。
適切なペーパーレス化の進め方が成功の鍵になる
適切な進め方を選択することで、ペーパーレス化はさらに効果的かつ効率的なものになります。
目的を定め、現状を把握し、計画的に進めるという一連の流れはどのビジネスにも共通する重要なプロセスですので、ぜひ自社に最適なペーパーレス化の進め方を採用してみてください。
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