少子高齢化が進む日本では、企業の人手不足が深刻化しています。
特に大企業に比べて経営体力の弱い中小企業は、人手不足が原因で廃業に追い込まれるケースも少なくありません。
中小企業の人手不足の原因と引き起こされる問題、中小企業の人手不足の原因別の対策方法を解説します。
中小企業の人手不足の原因とは
企業の規模や業界・業種を問わず人手不足が叫ばれています。
日本企業全体の99.7%を占めるとされる中小企業にとって、人手不足はより深刻です。
2023年9月に日本商工会議所・東京商工会議所が公表した調査「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(※)では、中小企業の68.0%が人手不足を実感しており、そのうち64.1%が「非常に深刻」と回答しています。
人手不足により事業運営に支障を期待している企業も2割近くに上り、廃業や事業継続に不安を抱える企業も多く、待ったなしの状況と言えるでしょう。
まずは、深刻化している中小企業の人手不足の代表的な原因を解説します。
※参照:日本商工会議所・東京商工会議所【「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」調査結果】
少子高齢化による生産年齢人口の減少のため
日本の生産年齢人口は、2008年をピークに減少しており、特に地方での減少は深刻です。
1990年代には全人口の約70%を占めていた15歳から64歳までの生産年齢人口が、2022年には60%を切るまでに減少しました。
一方で、65歳以上の高齢人口の比率は上昇を続け、30%に迫る勢いです。
人口が増加しているのは東京都のみで、他の46都道府県では軒並み人口が減少しており、地方ほど減少が進んでいる傾向にあります。(※)
このように、根本的な日本の人口構造の問題が、地方を中心とした中小企業の人手不足の大きな原因となっています。
※参考:総務省統計局【人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)】
中小企業の魅力低下による大企業への人材流出のため
中小企業の魅力が低下し、大企業に人材が流れていることも、人手不足の原因です。
中小企業は、長時間労働や低賃金のマイナスのイメージが拭えません。
若い世代はワークライフバランスを重視する傾向にあり、逆行するイメージは中小企業を敬遠する理由となっています。
結果として、優秀な人材は安定した労働環境や報酬を求めて大企業に流れ、自社の魅力をアピールできない中小企業は人手不足が深刻化していくのです。
技術革新への対応の遅れのため
ITの活用は、今やあらゆる業界・業種で企業の生産性を高めるために不可欠です。
しかし、ITの力を使えば効率化できる業務を、人手をかけて続けている中小企業は少なくありません。
こうした技術革新への対応の遅れは、生産性を低下させ人手不足に拍車をかける要因になります。
また、デジタル化や自動化への取り組みの遅れは企業のイメージや魅力の低下にもつながるでしょう。
特に新しい技術に敏感な若者を中心に、中小企業を敬遠する原因にもなります。
中小企業の人手不足が原因で起こる問題
人材不足が進むと中小企業の事業運営にどのような悪影響を与えるのでしょうか。
中小企業の人手不足が原因で起こる主な問題を見ていきましょう。
従業員の負担増加で人材流出の悪循環が起こる
先に紹介した「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」によると、人手不足に関する調査結果によると、人手不足に対して現有の人員でやりくりしている中小企業は約8割に上りました。
現有人員でのやりくりは、従業員一人ひとりにかかる業務の負担が増大し、過重労働のリスクが高まることを意味します。
過重労働は従業員の健康問題による休職や退職、劣悪な労務環境に嫌気がさした人材の流出を引き起こす原因となるでしょう。
結果として、「人材流出→従業員の負担増→人材流出」という悪循環に陥り、歯止めがかからなくなる可能性があります。
サービス品質の低下による収益への悪影響を招く
人手不足を現有人員でやりくりすることは、サービスや製品の品質低下を招きます。
人材の流出で十分なスキルを持たない人が作業を代替すれば、品質の低下は明らかです。
また、一人ひとりの仕事量が増えて過労状態になると、作業の精度の低下や顧客対応の劣化にもつながるでしょう。
こうしたサービスや製品の質の低下が企業の評価を落とし、収益の悪化を招くリスクとなります。
収益が悪化すれば人手不足への対策の余地も狭まり、ますます厳しい状況に陥る可能性があります。
事業の停滞による廃業の危機に陥る
大企業に比べて体力に乏しい中小企業が人材流出と収益悪化の負のスパイラルに陥ると、その状況から脱することは要因ではありません。
人手不足が長期間継続すると中小企業の事業活動は徐々に停滞し、市場での競争力を失って、最悪の場合には廃業に追い込まれる可能性もあります。
中小企業にとって、人手不足は単なる作業力の不足を意味するものではありません。
企業の存続自体を脅かす深刻な問題に発展するリスクを理解することが大切です。
中小企業の人手不足の原因別対策方法
中小企業の人手不足への対策は、危機的な状況に陥る前に手を打つことが重要です。
中小企業の人手不足の原因別に対策方法を解説します。
生産年齢人口の減少への対策:多様な人材・アウトソーシングの活用
人材不足の原因である生産年齢人口の減少に対する対策としては、多様な人材の活用です。
「総務省統計局「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、15歳から64歳の生産年齢人口は年々減少していますが、労働力人口はほぼ横ばいで推移しています。(※)
人材不足に苦しむ中小企業は従来の雇用スタイルに捉われずに、女性や高齢者の力を積極的に活用することで、解消の可能性が高まるでしょう。
また、生産年齢人口の減少に対する対策として、アウトソーシングの活用も効果的です。
人手不足の解消方法は人を増やすことだけではありません。
人員に適した量に仕事を減らすことも、有効な対策方法になります。
自社の競争力に直結しない業務を外部に委託し、限られた人員をコア業務に傾けることで、人手不足の影響を和らげて、より効率的な経営が実現できるでしょう。
※参照:総務省統計局【労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果の概要】
人材流出への対策:働き方改革や福利厚生の充実
人手不足の原因である人材流出への対策として、働き方改革や福利厚生の充実などが効果的です。
過重労働の解消や柔軟な勤務時間の導入などにより働きやすさを向上させることで、従業員満足度が高まり、人材の流出を防ぐことにつながります。
また、健康維持や仕事以外の生活の充実を図るための福利厚生の導入も従業員満足度を高めるのに役立つでしょう。
働き方改革や福利厚生の充実への取り組みは人材の流出を防ぐとともに、社外の人材を惹きつける魅力にもなり、人手不足解消への貢献が期待できます。
技術革新への対応の遅れへの対策:自動化・デジタル化の推進
中小企業の人手不足は、IT技術を活用した自動化・デジタル化の推進によっても緩和することが可能です。
従来は、企業がシステムを導入する場合には高額な費用や設備、専門の人材が必要でした。
しかし、クラウドサービスの広がりにより、中小企業でも安価に便利なサービスを利用できる環境が整ってきています。
同じ中小企業でも、ITの力を有効に活用できる企業と、そうでない企業では生産性に大きな差が生じるでしょう。
生産性が高まれば、少ない人数でも従来と同じ成果を生み出すことが可能になり、人手不足の影響を和らげることが可能です。
中小企業の人手不足原因の緩和にzaico
中小企業の人手不足の原因には、生産年齢人口の減少や大企業への人材流出、低い生産性などがあります。
人手不足を実感している企業は、人手不足による労働環境の悪化がさらなる人材流出を生む悪循環に陥る前に、適切な対策を行うことが重要です。
自動化・デジタル化の推進による生産性の向上は、クラウドサービスの登場により、従来に比べて対策のハードルが下がっています。
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