企業・組織内での業務などの引継ぎは、事業の継続性を確保するために欠かせないプロセスですが、引継ぎの際にミスやトラブルが発生することもあります。
引継ぎミスの内容や原因に焦点を当てながら、引継ぎミスの対策を考えて、引継ぎミスを防げるようにしていきましょう。
引継ぎミスを防ぐことの必要性
人の異動や退職・休職などに伴う業務の引継ぎは、企業や組織の運営上避けることのできない重要なプロセスです。
業務や事業の連続性や品質を保つためには、適切な引継ぎが行われなければなりません。
引継ぎミスが起きてしまうと業務が適切に進まないことだけでなく、情報の欠落や誤解によるトラブルの原因となるなどの大きな影響が考えられます。
それだけでなく、不十分な引継ぎは関係する従業員のモチベーション低下にもつながる場合もあり、従業員の満足度を低下させ、生産性や効率性を下げることもあります。
業務という限られた部分だけでなく、企業や組織の持続と成長のためには、引継ぎミスを防ぐ環境を整えることが必要です。
引継ぎミスの内容や例
引継ぎにはどのようなミスが起こりやすいのでしょうか。
引継ぎミスの主な内容や例を確認していきましょう。
引継ぎ資料の内容を後任が理解できない
前任が作成した引継ぎ資料の内容が不十分なために、後任が理解できず、引き継いだ業務の遂行が難しくなることがあります。
特に後任が社外からの転職者であったり、畑違いの部署から異動したばかりの場合に起こりやすい引継ぎミスです。
具体的には、引継ぎ資料が専門用語や業界固有の知識であったり、社内用語などであふれていて解説が加えられていないケースなどが例に挙げられます。
引継ぎされていない業務がある
前任が業務の一部の引継ぎを忘れたり、意図的に引継ぎを行わなかったりすることがあります。
例えば、引継ぎ内容の文書化を怠り、口頭での伝達で済ませようとすると、引継ぎミスや引継ぎ忘れが生じやすくなります。
また、未解決のトラブルなど前任者にとって向き合いたくない案件では、意図的な引継ぎ漏れも起こりやすいでしょう。
業務そのもののほか、業務に必要な資料やファイルへのアクセス権が引き継がれていないために、業務が滞るケースもあり、引継ぎが適切にされていない状態も引継ぎミスということができるかもしれません。
重要な関係先が引き継がれていない
前任が重要な取引先や顧客に後任者を紹介しなかったり、後任に相手との関係性について適切な引継ぎを行わなかったりすると、顧客との信頼関係を損なうことがあります。
具体的には、前任が特定の顧客との契約内容や交渉の履歴を引継ぎ忘れる例などが挙げられます。
過去に築かれた重要な取引先や顧客との良好な関係に傷がつくことは企業や組織にとって大きな損失です。
多くの場合、関係性の再構築は容易ではないため、必ず避けたい引継ぎミスといえるでしょう。
前任と後任で引継ぎ内容の認識がずれている
引継ぎが行われても、その内容への理解が前任と後任で異なっていれば、適切に引継ぎが行われたとは言えません。
引継ぎ内容を適切に伝えたとしても、認識の齟齬が生じたり、誤解が起きている場合もあるでしょう。
例えば、至急対応が必要と前任が考える業務に対し、後任が同じ認識を持っていなければ、引継ぎ後に業務の遅れや混乱が生じ、関係者にも悪影響を及ぼす可能性があります。
伝えたとしても適切に行えるか、理解を十分できているか、というようなの部分を確認していないと引継ぎミスが起きているといえるでしょう。
コミュニケーション履歴が引き継がれていない
前任と関係者が実際にやり取りしたコミュニケーションの履歴が引き継がれないと、後任が相手との関係における文脈や背景を理解するのが難しくなります。
例えば、進行中の重要なプロジェクトや取引に関するメールや会議の議事録が引き継がれないと、後任は過去の議論や合意事項を正しく理解せずに業務遂行にあたることになります。
結果として、関係者の間に混乱を引き起こす引継ぎミスにつながりかねません。
引継ぎミスが起こってしまう原因やケース
引継ぎミスが起きてしまうのには原因があります。
引継ぎミスが起こる主な原因やミスが生じやすいケースを具体的に見ていきましょう。
引継ぎにかける時間や余力が足りていない
急な退職などで時間的制約があったり、前任や後任が業務に追われていたりすると、引継ぎミスが起こりやすくなります。
例えば、前任が進行中の重要なプロジェクトのメンバーで、その役割遂行が忙しすぎる場合、引継ぎに割く時間や労力の確保が難しくなることがあるでしょう。
引継ぎを余裕をもって行える時間がない場合、引継ぎミスの原因や引継ぎミスが起きやすい状況にあるといえるでしょう。
必要な資料が共有されていない
後任が必要な資料にアクセスできないと、引継ぎミスの原因になります。
引き継ぐべき資料には、業務遂行のために必ず参照しなければならない資料はもちろん、記録として保管しておくべきデータや過去の履歴も含まれます。
共有資料やデータの数や量が非常に多い場合、引継ぎ方法にも工夫が求められます。
情報が散在している
引継ぎに必要な情報が複数の場所に分散している場合、後任が引継ぎ後に情報へのアクセスに失敗しやすく、引継ぎミスの原因になります。
例えば、業務に関する重要な文書やデータが複数の場所で保存・管理されていると、業務に慣れていない後任は確認漏れを起こしやすいでしょう。
結果として状況を正しく把握できなかったり、タスクの遂行忘れが生じたりすることにつながります。
上司やチームメンバーが関与していない
引継ぎに上司やチームメンバーが全く関与していないと、進行中の引継ぎのプロセスは不透明です。
引継ぎすべき内容に漏れがあった場合に、周囲が注意を促すことができません。
また、前任が引継ぎをおろそかにしていた場合だとしても、実態は明らかになりにくいでしょう。
他のメンバーが引継ぎの状況を理解していないため、引継ぎ後の後任へのサポートも不十分になりやすいと考えられます。
引継ぎ後に前任者と連絡が取れない
引継ぎ後、前任に連絡を取ることが困難な状況にあると、後任が業務に関する疑問を解決できない可能性があります。
引継ぎ後も連絡が取りやすい状況を作るのが望ましいものの、前任が退職する場合などには避けられないこともあります。
引継ぎ後に前任を頼る必要がないよう、他のメンバーの協力も得ながら確実な引継ぎを行うことが大切です。
引継ぎミスの対策とポイント
実際の仕事の現場で引継ぎミスを起こさないためには何を対策すればよいでしょうか。
引継ぎミスの対策ポイントについて見ていきましょう。
引継ぎ項目を洗い出して優先順位をつける
引き継ぐべき項目を明確にリストアップし、それぞれの重要度や緊急度を評価します。
これにより、後任が重要な案件に特に注意を払い、必要なタイミングで対処できるようになります。
優先順位がつくと、引継ぎプロセス自体の進行管理にも役立ち、時間切れにより重要項目の引継ぎができないといったミスを防ぐことができます。
引継ぎのスケジュールを立てる
洗い出された引継ぎ項目に基づき、引継ぎに必要となる期間や回数を把握した上で、スケジュールを立てることが効果的です。
こうすることで前任と後任の時間が確保され、重要な情報やスキルの共有に互いの時間を十分かけることができます。
引継ぎ期間が長期に及ぶ場合は、定期的な進捗確認やフィードバックを組み込むことで、引継ぎをより確かなものにすることができるでしょう。
マニュアルを作成する
引継ぎに必要な業務手順や重要な情報を詳細に記述したマニュアルを作成します。
文書化は、後任が必要な情報を簡単に参照できるようにするだけでなく、引継ぎの漏れを防ぐ役割も果たします。
前任と後任の間での誤解を防ぐためにも効果的です。
チームで情報・資料を共有をする
引継ぎに関連する情報や資料をチーム全体で共有し、全員が同じ情報にアクセスできる状態を作ります。
これにより、後任は引継ぎ後に適切なサポートを受けやすくなり、業務遂行が容易になります。
前任に連絡が取れない場合にも問題に対処しやすくなるでしょう。
引継ぎがあることを関係者に事前に知らせておく
引継ぎを行うことを関係者に事前に伝え、準備を促します。
こうすることで、関係者の後任への配慮から、丁寧なコミュニケーションや確認プロセスによるサポートが期待できます。
引継ぎ直後には関係者を煩わせることも考えられますが、あらかじめ状況を伝えておくことで周囲の理解が得られやすくなります。
引継ぎ後も前任者と連絡が取れるようにする
可能な限り引継ぎ後も前任との連絡手段を確保し、必要に応じてサポートを受けられるようにすることが理想的です。
後任の限られた情報と経験では努力しても問題に対処できないこともあるでしょう。
そのような場合にも、前任から簡単なアドバイスを得るだけで、業務の遂行に非常に大きな助けとなることがあります。
引継ぎミスの対策にはデジタルツールの活用が効果的
これまで見てきたように、引継ぎには情報を漏れなく確実に共有・伝達することが不可欠ですが、デジタルツールはそのための優れた手段です。
資料を効率よく共有できるクラウドサービスを用いると、業務に関連する文書やファイルの集約によって共有ミスが減らせる上、チーム全体でリアルタイムに情報を共有できるため、周囲とも協力しやすくなります。
業務の進捗状況や重要なタスクの可視化には、プロジェクト管理ツールやタスク管理アプリを活用してもよいでしょう。
また、チャットなどのコミュニケーションツールを使えば、後任はチームメンバーや前任に連絡が取りやすくなり、疑問点の迅速な解決に役立ちます。
このように、デジタルツールの利用は引継ぎプロセスの効率化や、情報の漏れや不整合の防止に効果的です。
さらに、デジタルツールを活用して業務を進めるようにしておくと、デジタルツールの操作方法や使い方の引継ぎを行うだけで済むような場合も増えるでしょう。
デジタルツールを活用し、誰でもできるようにすることができるので引継ぎミスの対策だけでなく属人化の予防にもつながるので、さまざまな視点からデジタルツールの活用を検討してみるといいかもしれません。
在庫や備品管理の引継ぎミス対策にzaico
引継ぎミス対策にデジタルツールの導入を検討したい方におすすめのサービスが「クラウド在庫管理ソフトzaico」です。
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zaicoにアクセスするだけで正しい在庫管理状況がわかるので、後任は引継ぎ直後から適切に情報を把握して関係者と同じ土俵で業務を進めることが可能となり、担当交代による業務の滞りを避けることができます。
いつかやって来る引継ぎの場面も見据えて、在庫管理業務にzaicoを活用してみてはいかがでしょうか。