在庫管理の現場を見ていると、
この人に聞けば、何がどこにあるのかすぐに分かる
発注はこの人じゃないとダメ。
といったように、特定の人が、長年の経験と勘で管理をしていることが多いようです。
しかし、その人が事故にあったり、インフルエンザなどの伝染病で休まざるを得ない、
または、突然退職していなくなるとどうなるでしょう?
どこに在庫があるのかわからない!
いくつ発注すればいいのか分からない!
現場は一気に大混乱です。
在庫管理を誰にでもできるようにする一番の理由は、
特定の担当者に任せる事のリスクを避けることです。
では、在庫管理の担当者は時間をかけて、育成しなければいけないでしょうか?
私達は、在庫管理は技術職のような専門職では無いと考えています。
在庫管理の仕事内容の基本は、「何が、どこに、いくつあるか」です。
専門的な技術や能力は全く必要ありません。
簿記のように専門的な知識も必要なく、CADのように特殊なソフトを使わなくても
良いのです。
在庫管理で大切なのは、誰にでもできる仕組みを作ることです。
誰にでもできる良い仕組みを作るコツは誰でもできる仕組みを作る7
カ条をご紹介します。
- 共有できる
- 省力化(頭を使わない、力を使わない)
- 自動化されている(システム、機械の活用)
- ミスが起こりにくい、起こってもすぐに発見できる
- メンテナンスしやすい
- 低コスト
- データが活用できる
1 共有できること
誰にでもできるということは、在庫管理の方法や情報が共有されて
いることが大切です。共有するためには、個人のやり方ではなく、
全員が理解できるようにしなければいけません。
2 省力化(頭を使わない、力を使わない)
間違えが起りやすい環境には、考えなければいけない状況が発生しています。
一番分かりやすいのは、公共施設の構内(駅の構内など)です。
どこに何があるか分かりにくい迷いやすい施設では、インフォメーションカウンターが混んでいたり
します。あの状況と同じです。
力を使う状況も間違いが発生します。重たいものを棚に上げるのは大変です。
何度も同じことをやっていると腰を痛めますし、忙しい時は棚の上にあげずに、通路において
しまうかもしれません。
3 自動化されている
省力化をもっと突き詰めると、自動化になります。
自動化とは、人間が介在しない状態です。ITや機械に任せてしまえば、
決まったことを忠実にこなしますから、間違いは起こらないですし、疲れることもありません。
4 ミスが起こりにくい、ミスが起こってもすぐに発見できる
人間は必ず間違いを起こします。ミスは絶対にゼロ!と言い切るのは無理でしょう。
「ミスを起こさないように頑張れ」と人に意識させる事も大切ですが、ミスが起こりにくい
環境や仕組みを作ることが大切です。
ミスの影響は時間が経てば経つほど大きくなり、そして原因が分からなくなります。
ミスが起こるかもしれないという前提の下で、ミスが起こってもすぐに発見できる仕組み
を合わせて作っておくと良いでしょう。
5 メンテナンスしやすい
在庫管理の現場でありがちなのが、一度作った仕組みが崩れていくことです。
一度作った仕組みが、全く同じ状態で永遠に使い続けられる事はありません。
在庫管理の場合は、新商品の追加、商品の廃番など入れ替えが頻繁にあります。
仕組みは定期的にメンテナンスしなければいけません。
複雑な仕組みはメンテナンスに時間がかかり、大変です。
仕組みはシンプルなものを心がけ、業務フローのようなで明文化しておき、
誰でもメンテナンスできる仕組みにします。
6 低コスト
仕組みはお金を掛ければいいものができるとは限りません。
良い仕組みほど、シンプルであり、身近にある知恵が生かされています。
自動車メーカーのスズキの会長である鈴木修氏は、こう言いました。
「電気やガスといったエネルギーは有料だが、重力と太陽は無料だ。」と、
例えば、わざわざコンベヤーを作らなくても、重力で落ちてくるようにすればいい。
ということです。
システム屋は全てITで解決しようとします。しかしそれが最善であるとは言えません。
貼紙1枚だけでも十分活きる場面もあります。貼紙であれば、紙とペンさえあれば、すぐに
作れます。
7 データが活用できる
管理をするということは、少なからずデータが集まります。
データは持っているだけでは意味がありません。データは使って始めて活きます。
IoT、人工知能の活用など、今まで以上にデータ活用のすそ野が広がっています。
データを収集するしくみを管理に盛り込むべきでしょう。
在庫管理で大切なのは、仕組みの設計です。
上記の7カ条を意識して誰にでもできる仕組み作りに取り組みましょう。
在庫管理に関してもっと知りたい方、在庫管理に関するお悩み・ご相談は、
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