製品の製造や商品の販売している事業者は「実地棚卸」と、いう言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
製造・販売業者は、棚卸資産の残高を確定させるために、実際の在庫数と帳簿上の在庫を照らし合わせて確認をする実地棚卸を行います。
その実地棚卸には、「循環棚卸」と「一斉棚卸」という2種類の棚卸方法があります。
「循環棚卸」と「一斉棚卸」の棚卸方法について詳しく解説をしているので参考にしてみてください。
循環棚卸とは?
循環棚卸とは、在庫を場所や種類ごとに分け、毎日であったり、3日に1回など、短いサイクルに準じて棚卸を実施していく方法です。
こまめに実施する棚卸方法で、迅速・簡単で精度自体も高いため、倉庫管理では一般的に用いられている比較的新しい方法です。
一般的には物品をスキャンして実施するため、在庫管理ソフトなどを導入しシステム化されている倉庫や店舗に最適な棚卸方法でもあります。
例えば、コンビニエンスストアや工場など24時間稼働しつづけるという条件下では、棚卸のために業務をストップし保管場所をクローズして棚卸を実施することは難しいため、この循環棚卸の方法を使っているところが多い傾向があります。
循環棚卸の実施方法
循環棚卸の具体的な実施方法ですが、循環棚卸は物品を場所や種類毎に分けて実施することが前提となるので、スケジュール上棚卸しをすると決まっていた対象エリアや種類以外の場所は稼働していても問題ありません。
循環棚卸の流れとしては以下のようになります
- 在庫管理を実施すると決められた対象エリアで棚卸を実施する。その際、対象となるエリアへの物品の入出庫はストップさせる
- 対象となる物品の数が揃うまで棚卸を実施する
- 対象エリアの在庫に差異がなければ業務を再開する
このような流れで、対象エリア、各種類毎にスケジュールに沿って日々実施していきます。
循環棚卸のメリット・デメリット
迅速・簡単・精度が高い循環棚卸の方法ですが、メリット・デメリットはあります。
循環棚卸のメリット・デメリットについて確認していきましょう。
業務を止めずに行える
循環棚卸の最も大きなメリットの一つとしては、業務を止めることなく棚卸を実施できることです。
棚卸を実施している対象エリアに関してのみ在庫を数えている間は作業をストップする必要はありますが、限定的なものなので倉庫内、もしくは売り場内でも事前に調整しながら実施することが可能でしょう。
また、通常の棚卸は丸一日店舗や工場を閉めて作業をするため、その分売り上げが減ってしまうのに対し、循環棚卸は業務を止める必要がないので売上に大きな影響を与えません。
少人数で対応可能
通常棚卸はスタッフ総出で実施するイメージを持っている人も多いと思いますが、循環棚卸の方法は限定的な棚卸の方法なので、そのために多くの人的リソースを割く必要がありません。
棚卸に多くの人を配置しなくていいので、それ以外の業務に支障も出づらく、日々の業務の維持にもつながりますし、何よりも棚卸の効率アップと人件費の削減にもなります。
ずれが生じやすい
営業を止めずに実施できることはメリットである反面、その他の商品が流動する中で作業なため、在庫の数え間違えが起きやすいというデメリットもあります。
また、対象エリア及び種類毎に順々に実施していくため、必然的に在庫管理の作業と作業の間隔が空いてしまい、ずれが生じやすいということもあります。
一斉棚卸とは?
一斉棚卸とは、入出荷等の業務を完全にストップさせて、1日か2日間かけて一斉に棚卸をする方法です。
なぜなら、棚卸中に入出荷をしてしまうと、数量に差異が発生するためです。
一斉棚卸は多くの企業が採用している一般的な方法です。
営業活動をストップさせる必要があるため、少なくとも決算に合わせ年に1回行います。
一方、半期に1回、四半期に1回というサイクルで実施する企業もあります。
一斉棚卸の実施方法
一斉棚卸の具体的な実施方法ですが、一般的な棚卸と思っていただいて大丈夫です。
基本的な棚卸の順序にしたがって実施しますが、業務を完全にストップさせ実施するため、大規模な棚卸になればなるほど事前の準備と周知が必要となってきます。
一斉棚卸はプロジェクト化させ、責任者を中心に運営チームを立て進めていきましょう。
事前の準備次第で効率と精度に大きな差が生まれてしまうため、一斉棚卸も現在ではシステム化が進んでいて、より現場に負担の無い棚卸の方法に進化しています。
一斉棚卸のメリット・デメリット
一斉棚卸の方法は昔から用いられている方法ですが、そこにはメリットもデメリットもあります。
一斉棚卸のメリット・デメリットについて確認していきましょう。
棚卸作業だけに集中できる
一斉棚卸は業務を完全ストップして実施するため、棚卸の為だけに集中することができる環境を担保できます。
作業中は循環棚卸と違い在庫の入出庫も発生することなく、作業現場も棚卸の為だけに稼働して一度に実施するため、循環棚卸よりもさらに精度高い結果となる特徴があります。
また、一度にまとめて棚卸を実施するため、帳簿と在庫が合致しない場合でも、その間違いと原因を見つけやすいという大きなメリットがあります。
よりリソースが必要になる
一斉棚卸におけるデメリットの大きなものは、一斉棚卸は人的リソースもそれなりに割かなければなりません。
なぜなら、一斉棚卸は規模も店舗丸ごと、倉庫毎など大きくなりがちで、棚卸に関わる人員が増えれば増えるほどその人員管理業務も増えてしまいます。
棚卸に慣れていない人の教育なども事前に実施しなければなりません。
半日~1日分業務が止まる
一斉棚卸において最も影響の大きなデメリットのひとつは、全業務が完全にストップしてしまうことです。
その期間は棚卸の規模によりけりですが、半日~1日にかけて実施することがほとんどでしょう。
また、日中の業務稼働を必須とする場合には、通常業務が終了した後、夜通しで棚卸業務を実施したり、スタッフが休日出勤により対応している場合もあります。
このように一時的ではあるもののスタッフに激務を強いてしまうと、肉体的・精神的負担からミスが多くなってしまい、棚卸自体の精度と効率性にも影響を与えるだけでなく、見直しが進んでいる働き方改革の観点からもこの状況は逆行していると言わざるを得ません。
循環棚卸を効率的に行うポイント
「循環棚卸」と「一斉棚卸」の棚卸方法の特徴を見てきましたが、より一般的になってきている循環棚卸を効率的に行うためのポイントを見ていきましょう。
責任者やリーダーを立て、マニュアルやルールに従って実施する
循環棚卸は実施スパンが短いことから、責任者やリーダーを決め、マニュアルを作成し、しっかりとしたスケジュールを立てて実施をすることが重要です。
営業を止めずに実施することがメリットである以上、事業スケジュールと人員配置を考慮した棚卸スケジュールをまず立てましょう。
そして、途中で新しい人が棚卸に参加してもルールを理解しやすいようにマニュアルを作成し、引継ぎ手順を明確にし定期的な講習会を実施しましょう
在庫管理システムの活用
棚卸は在庫管理の業務のひとつであり、その大きな目的は「現場を円滑に回し、キャッシュフローをよくして、経営状態をよくする」ことにあります。
すなわち、在庫管理は資産管理でもあるので、在庫にずれが生じることは会社の経営状態にも直接的に影響を与えます。
そこで、循環棚卸では在庫管理システムやスキャナーを積極的に使用し、より精度高い結果をもたらす方法を採用して実践し、棚卸業務自体の効率性の向上のみならず棚卸による在庫(資産)の適正化を実現しましょう。
より効率的な循環棚卸の実現にzaico
在庫管理における効率的な循環棚卸を実現するために「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoはクラウド型の在庫管理システムなので在庫データは在庫管理業務の度に同期され、いつも最新の情報を維持することができます。
また、導入したその日からスマホでバーコードやQRコードをスキャンし、誰でもカンタンに入出庫管理を実施できます。
棚卸担当者の負担を減らし、棚卸の精度を高めたいとお考えの場合、お気軽にzaicoにご相談ください。